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内容説明
「逆説思考」とは、通常の価値観の一面性を暴露し、それを反転させる思考スタイルのこと。この思考法を身につけることで、常識や気分に流されない、ホンモノの思考力・洞察力を獲得する。
目次
序章 異端妄説のすすめ
第1章 逆説とは何か
第2章 「逆説ことわざ」に見る人生知
第3章 逆説的生き方―漱石とその門下生三人衆
第4章 予言の自己成就
第5章 人間という逆説
第6章 文明という逆説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
32
漱石とその門下生(芥川、内田百閒、寺田寅彦)が皆パラドックスを自論としていたというところが面白かった。この方々は時代の最先端を走っていた、物事の本質を見ていたということがどんどん証明される世の中である。おちゃらけた書き出しからは想像もつかないほど(失礼!)中身が詰まった本だった。2014/06/14
ラウリスタ~
10
あえてドクサ(常識)に反する(パラ)ことで、今まで見えてこなかった物を見る、重要な手段としての「パラドクス」。しかし、本書は全般的に、散漫に古今東西から「逆説」の例を引いて、「笑えるよね、わはは」と言って内輪で盛り上がっている感。飲み会では面白いやろうけど、もうちょい体系的に書けるだろう。科学や医学など明らかに専門外なところも、逆説っぽい(エラーが大発見を生んだ!とかいうもはや決まり文句)物をつまみ食いする点がちょっと不安。日本の文壇でいかに「逆説」が、知的な証拠として大手を振るってしまったのか話は面白い2018/11/01
HALI_HALI
7
逆説によって世の中の理に近づいていく。逆説には3つの基本形がある。1.「AがBだ」とされる場合、「AはBでない」とする転倒思考。2.「AならBだ」とされる場合、「BならAだ」とする逆因果思考。そして、3.「AならBだ」とされる場合、「むしろBならAだ」と知る因果反転思考。ユーモアの良し悪しを決めるのは何とこの逆説思考との事。日常生活をもうちょっと楽しくする道具を手に入れたような感じ。2017/06/26
木ハムしっぽ
5
逆説の形態、ことわざや明治の文豪を例に逆説を考えることの重要性を解く本書。個人的には終章「文明という逆説」が興味深かった。先達三人(デュルケーム、ゲーレン、アプリーレ)の説を下敷きに、文化に適応できない人々の不調(うつ病・摂食障害等の心身症、家庭内暴力・虐待、ネット中毒・強迫的な犯罪等)が、人類の進化の速度に比べて情報環境の進化の速度が目覚ましいからではないか。本来、文化は人類の豊かさを追求したきたはずだが、その逆説として上記の不調が顕在化してきたと。更に、人類は進化のスピードに追いつけなくなると。2022/08/31
わえ
4
タイトルが気になって読む。逆説について様々な事例を取り上げた、読んでいて楽しくなる本。ことわざ、漱石とその弟子たちなど、話題多数。/「無用の用」が、『荘子』では「有用であることは世間にとっては価値があるが、当人にとっては余計なこと」という意味で語られていることを知った。/夏目漱石が博士号を断った理由が面白い。彼は立花氏の言うところのスペシャリスト(漱石の言うところの「片輪者」)ではなく、ゼネラリストを良しとしたのだろう。文明が進むにつれて片輪者が増えることも予見していることに脱帽。2018/11/21
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- 月刊誌PHP 2017年3月号