内容説明
「只、消え行くのみ──この稿を終わるの日、また窓蕭々雨の音あり」幕末維新の奔流の中で、気概を持ちながらも、時代の波にのみこまれてゆく名もない幕臣達……。作者が出会った夢幻の如き老人が幕臣たちの数奇な運命を語る表題作「雨の音」他、時代を必死に駆け抜けた男たちの生涯を描く七篇。
感想・レビュー
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さっと
6
歴史・時代小説の解説で良く見かける縄田一男が編者にあたっている安心の作品集。北海道を舞台にした「厚田日記」がやっぱり良い。当時は厚田村といった(現在は石狩市。札幌市から北上1時間半ほどの)寒村に、徳川に殉じ上野にこもった彰義隊くずれが落ちのびる。モデルは著者の祖父だ。口さがない江戸っ子だ。開拓使はなんだかんだとアイヌに禁止令を出す。そんなものに従う道理はないと祖父はアイヌを励ます。「面倒になったら、おれが腹を切るだけのことだ」。仲間が言う。「鉄さん、腹を切るはよかったねえ。開拓使にまだ切腹が通用するか」。2018/04/22
まりこ
2
彰義隊の落武者、有名でない幕臣達の話。少し分かりにくいところもあるが、独特な感じが面白い。2014/04/19
山内正
1
三味線堀 兄は勤皇のクジを弟修吉佐幕を いずれ世がどうなろうが館部を守ろうと決めた 十日経った中山道の上尾の関門がある 大工姿で立ち尽くす 木陰で女が江戸の脱走さんと声掛ける 彰義隊の逃げた者を見張ってた 関門が無くなるまで妓夫の下働きでも 仕方無く妓夫として江戸へ来た 許嫁の屋敷に官軍の偉い人が住むと 妾が居座り金を隠してると 元仲間が盗みに入ると誘う 屋敷の見張りに斬りつけられ斬った やがて彰義隊と解り取調べる事に 館部様と声が まさかー 顔を上げたら兄が そ、その方上州無宿うー! 如何為された 2019/09/25
藍兒堂
0
★★★☆