内容説明
玉川上水で男性の扼殺体が発見された。捜査陣に名乗りを上げた老刑事・滝口と相棒に選ばれた巡査部長の片桐。滝口はこの殺人事件に三十年以上前に起きた“三億円事件”との接点を見いだす。その頃、殺された男と三億円事件当時仲間だった連中がにわかに再会を果たしていた。昭和最大のミステリーに、緊密な文体と重層的なプロットで迫る!『19歳 一家四人惨殺犯の告白』で読者を震撼させた著者がものした、犯罪小説の白眉。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
74
読後には深く「読んだぁ~」と唸っしまうぐらい面白かった一冊でした。あの三億円事件をベースに当時の捜査関係者が定年退職を目前にその真相の決着をつけるという感じなんですが、その過程を読み進めている時のワクワクした自分の心の状態と言ったら尋常じゃなかったですよ。それから、老刑事と若い刑事2人の刑事の掛け合いからは、いつ空中分解しても可笑しくないのに心底では認めあっているんだろうなぁ~と微笑ましくなったりという思いで読み進めました。しかも、読後にこの内容が本当の真相なんじゃないかと思わせるほどの緻密さで驚いたな。2018/08/04
坂城 弥生
55
昭和の大事件3億円事件をベースにした警察の物語。止まった時が動き出して、全てを呑み込む濁流に変化していくのにゾクゾクした。2021/04/26
GaGa
39
三億円事件をモチーフにしたミステリーとしてはなかなかよく出来ている。ただ少しだけフーダニッドの部分が強引かつ弱い。ラストの対決が今一つ感情移入できないのは、殺人犯の描き方がやはり今一つ足りないのかなあ…特筆すべきは片桐、杉田の肉弾戦。アホだな~と思いつつもこういうぶつかりあいは血沸き肉躍る。男って馬鹿ね(笑)2011/07/22
B-Beat
35
◎いわゆる「3億円事件」。この事件についてはその衝撃度、話題沸騰ぶりが記憶の片隅にある程度。そんな自分が迷宮入りしあっさりと時効が成立したこの事件の背景を改めて窺い知ってみると「やはり、そんなものだろうな」と妙に納得がいく。登場人物は多く、それぞれの濃淡というか強弱によって感じ入ったりあるいは物足りなさを感じたり、納得したり、懐疑的になったり。そういう細部の理論的構成をあれこれと重箱の隅をつつくように読むよりは、眼前に繰り広げられる壮絶な描写を想像力逞しく一気に読み切る方が楽しいだろうとは思うけれど。2015/05/31
ren5000
34
たぶん再読。三億円事件の話は小説やドラマで結構読んだのでいろいろ情報がごちゃ混ぜになっていてずっと既読感を感じながら読んでました。そこそこ面白かったけどちょっと助長気味で途中読書が進まないところも。でも三億円事件ってロマンがあるよねぇ。2020/05/27
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