内容説明
世間はまだ、バブルの熱に浮かされ続けていたが、近いうちに地価も株価もガラスの天井にぶつかることを予測した齋藤と彰洋。手に入れた土地と株の売り逃げをして大金をつかみ、ニューヨークのど真ん中にビルを建て、自分たちの王国をつくる──夢を叶えるため、自分の恋人にも嘘を塗り重ねてマネーゲームに奔走する。騙し欺かれて、疲れ果てた彰洋は、次第にコカインとセックスに溺れていく。この狂ったゲームの果てに金を手に入れるのは、彰洋か、麻美か、齋藤か!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
93
下巻に入っても 彰洋と麻美の狂乱は続く。 コカインとセックスに溺れながら、 破滅への道を突き進む。欲にまみれた 男女の行く末をハードに描く… 昭和の悪い男女の破天荒な物語だった。2023/05/19
★グラスハート★
61
2.0 アッチもコッチもから彰洋の身動きとれないぐらいの追い込まれ、何重のスパイ。裏切りの数々。 バブル崩壊で終わるだろうとは予想出来てたけど、急速に伏線回収しだして盛り上がりにかけた感があるかな。2021/10/05
巨峰
41
分厚い文庫、上下2冊を一気読みしました。これ凄く面白かったです。バブルを主題に正面から取り組んだ小説ってあまりないんですよね。貴重!2024/02/04
Tetchy
27
上下巻合わせて1,050ページ強の大作。彼ら4人が破滅に至るまでのプロセスがじっくりと事細かに語られる。各々を縛るための因果をところどころに織り込ませ、それらが最後に一気にカタストロフィとして連鎖反応的に爆発していく。巨万の富を得ながら、金のために金を遣い、金を稼ぐ者たちの終わりなき修羅の道行。バブル崩壊という破滅にしか向かっていくしかない狂乱の宴の欲望深き者どもに対して意外にも馳氏は穏やかな結末で物語を閉じる。ここに至ってタイトルの「生誕祭」の本当の意味に気付かされる。彼らの王国はこれから始まる。2013/01/23
keith
23
バブル期の地上屋やヤクザたちの騙しあい。ヒリヒリとした展開にどのようなラストが待ち受けているのかと思っていたが、馳星周らしくない結末だった。続編の「復活祭」で彼らが再びどう描かれているのか楽しみ。2014/12/06