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内容説明
二十世紀最大の物理学者アインシュタインと、真言密教を説いた偉大な宗教家・空海――科学と宗教の頂点に立つ二人の天才は、時空を超え、きわめて類似の宇宙観をもっていた。密教の曼荼羅は、現代物理学が明らかにした宇宙創成のシナリオを、千二百年も前に先取りしていたのだ。権威への反発、夢への憧れ、徹底した思索、芸術への共感……本書は、二人が作り上げた宗教的宇宙観と科学的宇宙論を紹介しつつ、宇宙のなかの人間のあり方を思索し、現代科学技術がはまっている陥穽に修正を迫る。 科学と技術が未曾有の発展をとげる現代社会において、科学者はみずからの正当性に固執するあまり、宗教者を無視し、ときにはあからさまに排斥した。だが人類は一方で、物質文明に潜む矛盾に漠然とした不安を抱き始めている。科学と宗教は水と油のようにまったく相容れないものなのか? それとも科学と宗教の交差するところに、新しい人類の萌芽が垣間見えるのか?
目次
第1章 東寺のアインシュタイン(五重塔とミュンスター大寺院 対称と非対称 ほか)
第2章 空海と真言密教(都への旅立ち 退学して仏教徒に ほか)
第3章 アインシュタインの時空間(ふまじめな学生 ニュートンの権威 ほか)
第4章 二十世紀のあやまち(宇宙に浮かぶオアシス、地球 進む温暖化 ほか)
第5章 二十一世紀へのメッセージ:人類のゆくえ(高野山での再会 左脳と右脳の連係プレー ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Naota_t
3
★3.1/空海とアインシュタインのそれぞれの思想や経歴は勉強になった。しかし、彼らに共通項はあまり感じられなかったし、彼らを巡りあわせることによって何か特別な結論が得られたわけでもなかったため、著者のメインメッセージが何なのか私には理解が及ばなかった。なお、アインシュタインが、日本への原爆投下について阻止しようと大統領宛の手紙に署名したというエピソードを私は知らなかった。アインシュタインは戦争時には祖国からも疎まれ、戦争を憎んでいたが、自身が開発の契機になった兵器が、過去に訪れた土地に使われたのは皮肉だ。2023/04/18
ハナ
2
高野山を参拝したく、勉強の為 読んだ。途中、難しくて挫折しかけたが がんばって読んだら今の自分たちに必要な事が書いてあり読んだ甲斐があった!! 参拝前に、空海さんはもとよりアインシュタインも少し身近に感じる事ができて楽しかった。この 二人の天才の事をもっと知りたい、と探究心をかき立てられた。2019/04/30
活字の旅遊人
1
どこかで、繋がる。
大先生
1
当たり前ですが、フィクションです。生きていた時期が1000年以上違いますから。個人的には対話させる必要はなかったように思いますが、面白い試みではあります。宗教と科学という二つの世界観が交差する場所を見つけ出し、そこに21世紀の人類のあり方を見つけることが目標。著者によれば、そのあり方とは、人類が自然の支配者から協力者へ変革すること、要するにもっと環境保護に本気になることだと考えているようです。欲求に任せて自然の支配者として君臨しようとすれば、自滅する。いま人類は知性の力量を問われている!2019/02/19
Akira Nagata
1
世界観の話。相互作用とでも言えば良いのでしょうか。あらゆるものが互いに影響を与え合います。2017/08/07