内容説明
遺産相続から女性の扱い方まで厳格に、でも驚くほど具体的に、イスラム社会を規定する『コーラン』。日本人には理解しにくいと言われるこの書も、アトーダ流に噛み砕けばすらすら頭に入ります。神の言葉『コーラン』は、実は後悔しない人生を送るための親父の説教みたいなものなんです。イスラムとの協調が絶対不可欠な、今だからこそ読みたい『コーラン』の、一番易しい入門書。※文庫版に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
162
イスラムとユダヤ、キリスト教のことは折に触れて読んできたので、少々物足りなかった。砕いて説明してくれようとする文章に、時に作者の私見や体験が入るために読みやすいとも思えないので、初心者にもどうだろう。一神教の話などはもはや常識かとも思うが、仏教はむしろ哲学とはなるほどと思わされた。ブタ肉は、暑い地方で食べ物ではないと聞いたことがある。ユダヤ教もその起こりの地を考えれば、またその流れをひくキリスト教でも豚の蹄と悪魔の関係を考えれば、口にしてはいけないと説くものだったのだと思う。2017/07/14
buchipanda3
114
馴染みのないイスラム教をもう少し知るためにこちらを。「コーランは神の言葉であると同時に神の音楽でもある」という言葉が印象的。確かにコーランをアラビア語で読誦したものを聞くと独特なリズムを感じて耳に残る。文章も詩的なリフレインが多いようだ。中身は旧約聖書などと比較すると寓話的というより具体的で法性的な感じ。遺産相続の細かな規定には厳格さと現実的な面が見られる。旧約聖書やキリストの話も一部を内包しているのは意外だった。成り立ちが当時のアラブ社会の形や風習の影響が色濃くあるとのことで、他の関連本も読んでみたい。2021/08/28
ゴンゾウ@新潮部
100
恥ずかしながら、全くと言っていいほどイスラム教のことを知らなかった。ユダヤ教やキリスト教との関わりも深くコーランが旧約聖書と同じ箇所があったりモーゼなどの預言者も登場していることを知った。ただ生前にアラーの神の為に殉職すると死後の世界では報われるという教えはかなり考えされました。 【新潮文庫の100冊 2017】2017/07/29
扉のこちら側
91
2017年428冊め。なんの本だったのかもはや覚えていないのだが、その昔「コーランはとても合理的な面もある」というような内容のものを読んだことがある。その点で一番興味深く読んだのは第7話の『砂漠のフェミニズム』。男性は女性より強く上位にあるものとして作られたという男女観が根底にあるものなのだが、日本のおかしな法律よりもよっぽど人道的に思えるものもあるのだな。 2017/12/23
流言
83
う、うーん……。僕のほうに予備知識がなかったからか、あまり充分に理解できたとは言えない。全体から言えば、原文に忠実に書かれた部分はわずかに過ぎないのだろうがそれでも読んでいて目が滑る。著者はアラーの言葉を親父の説教になぞらえているがこの冗長さはなるほど説教である。コーランの成立についても時間軸に沿って述べられてはいるが、どうしてイスラム教がここまで人を惹き付けたのかこの一冊からは理解しがたい。一番興味を持てたのは食生活についてだが、何故豚が禁止なのかさえわからないままで腑に落ちないものが残ってしまった。2014/10/13