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内容説明
たとえば、天使がラッパを吹きながら空を舞う名画は、技術の蓄積だけでは描けなかった。目には見えないその姿を描く画家は、人体のデッサンに習熟し、想像力に助けられて、絵画という世界を構築していったのだろう。この本ではクールベやゴッホなどのたくらみや情熱の跡を辿り、美の宇宙の源泉へ旅してみたい。描く技術、鑑賞する感性を会得するには、近道も終着点もないが、創造の歴史には「絵の真実」が現われてくる。
目次
1 空想の宿題
2 絵と真実
3 遠近法の実験
4 よく見て描く
5 自画像の実験
6 ゴッホの存在
7 イマジネーションと子どもの時代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
322
安野光雅の絵画教室。人が絵に求めるものとは何か、絵の真実とは何かを実作者の立場から初心者向けにいたってわかりやすく解説したもの。NHK人間講座「絵とイマジネーション」(2004年)のために書かれたテキストが元になっているようだ。最も納得したのは絵における「事実」と「真実」を説明するのに演劇の舞台を比喩として用いていたこと。なるほど、舞台の上で演じられているのは「事実」ではない。しかしそれは(あるいはそれ故にこそ)「真実」たり得るのである。後半のゴッホについてはご本人の思い入れがことのほか強いので、⇒2023/06/21
KAZOO
154
私は自分に画才がないので、見るほうでかなり補っている感じです。これは安野さんがさまざまな有名な絵やご自分の絵を引き合いに出されて絵を描くにはどのようにしたらよいのかを説明してくれています。具体的な指導書というわけではないのですが絵に対する親近感をまず醸成していくような方法だと思われました。カラフルな本で楽しめました。2016/11/07
ビイーン
28
絵が好きな人ならば誰でも楽しめる本だと思う。文は安野氏の人柄がとてもにじみ出ていて優しい雰囲気がある。筆者の物事を突き詰めていく姿勢に強く引き込まれた。後半でゴッホについて熱く語る。「お金になろうとなるまいと、売れようと売れまいと、とにかく絵を描く。絵を描きさえすればそれでいい。中略。絵さえ描いておれは満足だ」絵への情熱で命を支えられ生きたゴッホの事を少し垣間見ることができ、私も感動を覚えた。 2020/08/30
kochi
16
別に日常的に、絵を描くわけでもないけど、見るのが好きで、「描けたらいいな」と思い続けて、うん十年。で、こういうタイトルの本を見ると、つい、読みたくなる。本書は、NHKの番組がもととなり、作られた新書であるが、後半にあるゴッホに関する章の思わぬ熱量に、影響されてしまったし、最終章で、個人的に尊敬するコンピュータ学者のクヌースが登場したのにもびっくり。また、自画像の章では、あの花の中3トリオの50年後を描いた、山藤章二の似顔絵が出てきたりして、似ているかどうか確認するのも面白いと、いろいろ発見のあった本。2020/03/02
春ドーナツ
14
「テスト」に挑戦してみました。「問い1想像上の島のアウトラインを描く」カニの甲羅みたいだ。「問い2山の稜線」OK。「問い3石垣」煉瓦積み風。「問い4木目」OK。「問い5古くなったガーゼ」パス(面倒臭い。すみません)。「問い6いろんな顔を作る」なぜか皆同じ顔になる。「問い7等高線」さっきの島に山と湖を加えて線を引く。「問い8蝶結び」結び目がアバウトだなあ。「問い9爪切り」昨晩使用したものの、非ー機能的フォルムに仕上がる。「問い10風車」限りなく平面的。花びらにも見える。*本書は氏が絵解きした美術史でもある。2018/12/18
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