新潮新書<br> 自爆テロリストの正体

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新潮新書
自爆テロリストの正体

  • 著者名:国末憲人【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 新潮社(2012/02発売)
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  • ポイント 180pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784106101458

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内容説明

貧しく純粋なイスラム教徒が、やむにやまれぬ思いに駆られてテロに走る――。自爆テロにはしばしば、こうした「美しい物語」が付いて回る。しかし、これは真実だろうか。現場を歩いてみると、自爆テロが「貧困」とも「イスラム教」とも関係がなく、「中途半端な若者たちの自分探し」の結果だった姿が見えてくる。「テロリスト」に対する甘い幻想を全て打ち砕く、画期的ノンフィクション。

目次

第1章 移民二世ザック「自分探しの旅」
第2章 スラムの勝ち組
第3章 モスクの外、刑務所の中
第4章 テロリストの妻たち
第5章 哀しき改宗者
第6章 乗っ取られた村
第7章 劣等感がテロリストをつくる

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

55
2010年代にフランスで起きたテロリズム。その犯人の人生を辿り、何故テロリストは誕生するのか。を追った労作。従来のテロリスト像は貧困や差別故にやむを得ずその手段を採ったというイメージが大部分を占めていたが、本書から見えてきたのは学業や職で一定の成功を修めながらその後挫折を味わった若者がそれに加担するという事実である。悲しいのが若者が純粋さの為に逆に重要な地位に付けないという所。その他にも刑務所が勧誘のファクターとなっているとか、実行犯の妻たち、未だ戦火の傷跡の残る村等、様々な角度から迫っていて面白い。2024/08/01

hatayan

32
朝日新聞の記者がイスラム過激派の関係者を取材。 テロ組織への扉はカルト宗教のそれと同じくごく身近に。途中でイスラムに改宗した者は熱心さを買われるものの、純粋ゆえに融通が利かず重要な地位には就けない。自爆テロリストとして育てられるのは、そこそこの教育を受けたものの、その後社会で挫折した者。 慎重な言い回しながらも、テロリストの妻は夫の役割を知っていて、テロの実行に重要な役割を果たしているのではないかと疑いの目を向けます。 9.11のリーダー格だったモハメド・アタを追った『テロリストの軌跡』と合わせて。2019/12/01

lily

5
殉教することで自らの想いを成就させようとする自爆テロリスト。著者は彼らの正体を「中途半端な若者たちの自分探し」としているが、これだけでは説明不足であろう。アラブ人に対する差別、そこそこの教育を受けても抜き難い劣等感、モスクでの説教に対する不満などを器用にすくい取る過激派の勧誘に、彼らは多分に感化されてしまう。「マルチ商法に引っかかる人は、高卒で頭の良い者か、大卒で出来の悪い者」だという。雇用の維持や社会制度の拡充など、彼らの鬱憤をいかにガス抜きするかが大事。これが難しいことでもあるのだが。2017/07/12

うたまる

2
「共通しているのはそこそこの教育を受けたものの、その後社会で進むべき道を見失った人々だ。彼らは個人的な失敗を暴力であがなおうとしている」……自爆テロリストの素顔に迫ったルポ。これがなかなかの良書。追跡調査により、彼らは一般に考えられているような貧困や無教育ではなく、むしろ裕福で高等教育も受けていたことが分かる。それが挫折を味わうことで、自尊心回復のため過激派に傾斜していくというメカニズムのようだ。日本でもカルトや引きこもりになるケース。大まかには納得だけど、でも内的要因だけでは矮小化しすぎにも思える。2017/05/01

in medio tutissimus ibis.

2
自爆テロリストの正体が、エリートの出来損ないであり、理想と現実の格差の逃避からテロリストとして勧誘され、言ってしまえば利用されているのだという中々説得力のある取材結果はしかし、どう考えても片手落ちである。なるほど自爆テロリストの正体は判明したが、それを利用している存在は何か。著者も認識している通り、セクトの冷徹な管理者と熱心な被害者は別であり、片方の正体を見ただけで足れりとはとても言えない。資金の出どころはサウジアラビアだとして、この自然発生とは思えない洗練された手法の出どころもまた追及の余地があるはずだ2017/01/21

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