内容説明
明治元年、宮城県石巻町に生れた安田恭輔は15歳で両親を失う。外国航路の見習船員となり、やがてアラスカのポイントバローに留まった彼はエスキモーの女性と結婚してアラスカ社会に融けこんでいく。食糧不足や疫病の流行で滅亡に瀕したエスキモーの一族を救出して、アラスカのモーゼと仰がれ、90歳で生涯を閉じるまで日本に帰ることのなかったフランク安田の波瀾の生涯を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
167
久しぶりに読んだ新田次郎作品。明治の時代に宮城県石巻から外国航路の見習い船員となってアラスカに渡ったフランク安田の波乱の生涯を描いた長編。無音の夜空を妖しく彩るオーロラ、奇怪な運航をする太陽、明けることのない夜だけの季節、食糧としての海獣の激減とエスキモーの大移動。アラスカの厳しい自然環境とともに、そこに人生の全てを注ぎ込んだ日本人がいたことに驚きを覚え、想像できないような風習や未知の風土にどっぷりと浸れた読書体験となりました。2022/04/17
ふじさん
113
フランク安田の名前は知っていたが、彼の足跡はこの本で初めて知った。作品は、新田次郎の丹念な資料調査と現地調査が裏打ちされた作品。孤独な境遇となった安田は、外国航路の見習船員となり、一つの出来事をきっかけにアラスカのポイントバローに留まり、エスキモーの女性と結婚しアラスカ社会に融けこんでいく。食料危機や疫病で滅亡に瀕したエスキモーの困難な状況の解決の尽力し、アラスカのモーゼと仰がれる存在。エスキモーとなった日本人と称された安田の存在は、エスキモーの社会に燦然輝くだけに、現在の彼の墓地の姿がちょっと寂しい。2023/10/15
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
111
先日写真家星野さんの遺稿集を読んでいたらその名が出てきたフランク安田。それをきっかけに久しぶりの再読となった。明治時代、単身アラスカに渡り、エスキモーと共に暮らし、彼等のリーダーとなったフランク安田こと安田恭輔の伝記的小説。疫病や飢餓により滅亡の危機に瀕したエスキモー達を率いて、ジャパニーズ・モーゼと呼ばれた人物。彼の波乱万丈の人生も感動したが、当時のアラスカの自然、エスキモー達の生活や風習も丁寧に描かれていて良かった。こんな日本人が実在したという事を改めて実感した。★★★★2019/07/27
seacalf
108
新年会のお酒の先で「こんなすごい日本人がいたんだよ」と義父から教えて貰った本。日本人でありながらアラスカのイヌイットの酋長になっただなんて途方もない話だ。医者の家に生まれたが早くに両親を失くし渡米、湾岸警備船に乗り込み、その後イヌイットの村で頭角を表し、白人の乱獲で生活困難になった人々の為にお金を工面し、敵対していた内陸インディアン地区に村を作って移住させるのに成功し、ジャパニーズモーゼと称えられた男。物語であるので脚色も勿論あるのだが、概ね真実であり読むごとに目を見張る活躍。たっぷり読み応えのある作品。2023/01/11
タツ フカガワ
86
明治元年、宮城県石巻で十六代続く名門医家の三男に生まれた安田恭輔は、19歳で外国航路の見習い船員となり、数年後、フランク安田として北極海に面したアラスカのエスキモー社会に根を下ろす。彼ら独特の風習に困惑しながらも“日本のエスキモー”として融け込んでいったフランクは、やがて不漁に苦しむ村民200名余りを内陸部へ移動させて新しい村を興そうという前代未聞の計画を実行に移す。のちにアラスカのモーゼとも呼ばれた波乱の人生を辿る評伝は、まるで冒険譚を読むような面白さと実話の感動がありました。2023/12/02




