内容説明
太平洋戦争末期、沖縄は米軍の激しい空襲に曝されていた。逃げる先はいまやヤンバル(本島北部)を覆う密林地帯しかなかった。沖縄刑務所もついに解散となり、収監されていた北城尚純もヤンバルに向かう。途中、老人の遺体にすがる少女に遭遇した。被弾した老人は酒蔵の主で、二百五十年の歴史をもつ古酒の甕を抱えていた。少女は父親が命と引き替えに守った古酒とともにげる決意を固める。囚人と少女の凄絶な脱出行が始まった!※巻末ページのリンク先にはジャンプ出来ませんのでご了承下さい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
harukawani
7
戦争末期、米軍が上陸した沖縄戦の死と混乱の真っ只中を沖縄軽便鉄道(ケービン)が走る。北へ北へヤンバルを目指す一行の中心にいるのは、琉球独立を説き思想犯として服役していた主人公・尚純。彼が守ろうとするのは、戦場で出会い恋仲となった歩香の家に受け継がれてきた泡盛の古酒。甕を抱えた逃避行は辻作品独特の軽さを持って進むが、そのど真ん中に大事に抱えられているのは、沖縄の歴史で文化で誇りであるところの古酒であり、そしてケービンへの想いだ。戦争を知る鉄オタ兼ミステリオタクである作者にしか書けない大傑作だと思う。→2021/03/26
タカエス
2
意外に面白くてサクサク読めた。沖縄戦が舞台なのでイデオロギー表現は避けられないと思うが、これくらいライトなら食あたりの心配もなくて良いと思う。今日もモノレールを利用したが、本書の軽便鉄道が頭から離れなかった。2025/11/23
shibatay
2
傑作。本作の評価は低すぎる。2006/03/21
可兒
1
相変わらず、いろいろなものを乗せて走る鉄道については一級の辻さん2010/04/08
minoguchi
0
今度沖縄に行ったら廃線跡を探してしまいそうだ。2010/03/27
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