「学校の怪談」はささやく

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「学校の怪談」はささやく

  • 著者名:一柳廣孝
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 青弓社(2014/07発売)
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  • ISBN:9784787291776

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内容説明

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1990年代にあらゆるメディアを巻き込んで一大ムーブメントを築き上げ、ホラー・ジャパネスクの原風景を立ち上げた「学校の怪談」。いまや日常の空間に入り込み増殖を続けるそれを多様な視座から揺さぶって、現代の〈闇〉の磁場と怪異へのまなざしを探査する。

目次

はじめに──「学校の怪談」という問題系 一柳廣孝

第1章 「学校の怪談」に始まる──一九九〇年代ホラー小説ブームと都市伝説の関係をめぐって 東 雅夫

第2章 「学校の怪談」の映像誌 吉田司雄
 1 関西テレビ・宝塚映像版「学校の怪談」シリーズ
 2 東宝映画版「学校の怪談」シリーズ
 3 関西テレビ・アルタミラピクチャーズ版「学校の怪談」スペシャル・シリーズ
 4 「トイレの花子さん」シリーズ

第3章 「学校の怪談」と児童文学 宮川健郎
 1 「学校の怪談」の発見
 2 「学校の怪談」の再話
 3 「学校の怪談」の創造
 4 「学校の怪談」批判

第4章 「怪談の学校」がなくなったあとで 難波博孝
 1 最初の仮説──学校の事件が「学校の怪談」を駆逐した?
 2 「盛り上がり図式」への疑問
 3 「学校の怪談」はなぜ起こるのか──児言態の枠組みから考える
 4 「学校の怪談」を分類する
 5 「学校の怪談」がないということ
 6 「怪談の学校」はどこに
 7 「怪談の学校」がなくなったあとで

第5章 「花子さん」と呼ぶとき──学校とリテラシーの近代から 戸塚ひろみ
 1 「花子さーん」
 2 わたしの名前は「花子さん」
 3 「呼びかけられる」花子さん

第6章 「社交」と「ふるまい」──学校という舞台 山田厳子
 1 新しい「子ども」論と「噂」
 2 「口承文芸」という枠組み
 3 「児童社交」という枠組み
 4 演じられる「怪談」
 5 「場所」の意味づけ

第7章 民話運動と「学校の怪談」──その思想性をめぐって 野村典彦
 1 「都市伝説」と「大先生」
 2 「現代民話」の類義語
 3 「現代民話」の生い立ち
 4 「現代民話考」
 5 都市民俗学、そして「学校の怪談」──一九八〇年代
 6 読者からの情報提供
 7 「学校の怪談」というメディア

第8章 怪談の階段 高木史人
 1 「怪談」はどこにあるか
 2 柳田國男と「怪談」──派生昔話という位置づけ
 3 折口信夫と「怪談」(1)──お伽話の中心は怪談である
 4 折口信夫と「怪談」(2)──なぜ夏に怪談をするのか
 5 幽霊と妖怪と──今野圓輔『日本怪談集』の可能性と限界
 6 常光徹「学校の世間話」から始まったこと──「怪談」の不在
 7 〈口承〉としての「学校の怪談」へ──怪談の階段

おわりに 一柳廣孝

「学校の怪談」資料

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

32
「学校の怪談」とは何だったのか。現実に子どもが体験して、口頭で語り継いでいった話、などと信じている人はいないだろう。少なくともそこにメディアがからんだ、創作としての怪談が含まれていることは、みんな承知である。ブームが起き、そして終わったあとの世界である今、口承文芸としての怪談、あるいはそれに類した話は成立するのだろうか。論文集として、この本のラストはそのような疑問を大いに投げかけている。怪談話の内容よりも、その伝承課程の洗い出し、解明こそが重要なのだ。2014/06/01

マグカップ

27
本書には「学校の怪談」に関するさまざまな研究内容がまとめられている。「学校の怪談」が大流行した理由は何だったのか。そして、子どもたちにとって「学校の怪談」はどのような存在だったのか。教育の歴史や子どものコミュニケーション方法、民俗学など、多岐にわたる視点からそれらの謎を紐解いていく。この本を契機に、「学校の怪談」、ひいてはその他の「怪談」や「子どもの文化」についての見識を深めていきたい。2021/09/07

ユラニト

7
『学校の怪談』の流行、映像化、書籍の発行を受けて児童の間でのブームなどについて各著者による研究。映画『学校の怪談』などは見ていなかったが自分も子供の頃に『怪談レストランシリーズ』を読んでいたので思い出深い。後半になると民俗学の研究のあり方や『怪談』という言葉の扱い方と内容が固くなり、私には難解だった。気になったのが『4章「怪談の学校」がなくなったあとで』今の学校には怪談がないと学校で起こった事件によって学校が怪談よりも怖いものとなってしまったと語るが、いささか強引に感じた。2024/03/30

ao-king

4
「学校の怪談」がブームとなった90年代は、ちょうどインターネットの環境が急速に整いつつあった時代でもある。それがそれまで地域範囲であった子供たちの情報共有の範囲を急速に広げ、結果として「学校の怪談」が子供たち共通の話題としてブームになったのではないだろうか。その反面、個々の学校に存在したオリジナルの怪談が失われ、どこでも似たような話ばかりになってしまったという事実は否めないと思う。少し残念。この本に紹介されている資料はどれも興味深いので、ここからさらにいろいろと読んでみたい本ができたのは嬉しい。2013/02/11

みーすけ

4
(借)ネットも無い時代に、ああも急速に広がっていた噂話(都市伝説のたぐい)。 ある時期を過ぎて急速に学校の怪談に始まるホラー話しが減った気がするが、それでも夏になると特番で放送される怖い話し系。 現実が虚構を超えても、それでも静かに繰り返し語られる事が怖い。 2012/09/15

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