内容説明
忙しい毎日を過ごすトリイのもとに、思いがけない人が助手になることを申し出てきます。レスリーの母親、 ラドブルックです。ラドブルックはとびきりの美人で、裕福な芸術家の妻。しかも理 系の博士号を持つほどのインテリでしたが、アル中や不倫のうわさが絶えず、町では 浮いた存在でした。トリイもこの母親とは何度か衝突していたため、この申し出に驚 きますが、彼女が実は深く悩んでおり、トリイに救いを求めてきたのだということに 気づきます。「わたしはね、いい母親になりたいの」――小さくつぶやかれたこの一 言から、二人の試行錯誤が始まります。 障害を持ちながらもなお生きる勇気にあふれる子どもたちと、辛い孤独を抱えたま ま大きくなってしまった一人の女性の奮闘。そしてそれらを大きく包み込むトリイの やさしさが胸をうつ、上下2巻のノンフィクションです。/掲出の書影は底本のものです
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Rin
23
【再読】色々と勉強にもなりました。何気ない言動が相手に与える影響、「話す」ということの重要性。感情的にならない、冷静で客観的であることの必要性を痛感。トリイの仕事としてのプロ意識や、仕事として割り切らず一歩踏み込めるその愛情が凄い。「どんなに辛い過去も終わったこと。二度と起こらない」「あなた自身とあなたが抱えている問題は違う」たくさんハッとさせられます。シェモーナがトリイの名前を呼んで、皆で写真を撮って。その瞬間は確かに幸せで。また問題と向き合っていく皆の未来が、少しでも優しいものであってほしいです。2015/03/31
いのちゃん
2
だんだんといろんなことが進んでいくのがよかった。見守っている気持ち。ピクニックのところがすごくよかったです。2017/09/10
AR読書記録
1
結局ラド夫婦と娘がそういう形になって終わるのは、娘の立場で考えたときにどうだったんだろうか、と思うところはあるが、現実は小説とはちがって大団円におさめられるものではなし、少しでも世界の中の“幸せ”の総量が増えることをめざしつつ、できることをやる、変えられることを変えていくことしかできないんじゃないかなあ、とか。それにしても、こういう仕事をできる人を尊敬する。2019/07/04
ハルチソ
1
トリイ作品文庫本制覇。下巻はトリイとラドブルックがメインでサクサク読めた。感動はしないけど良い話ではあった。2014/09/16
ゆうこ
1
『愛されない子 下』半分はラドブルックのアル中や失語症の件だった。ラドブルックの旦那のトムはなんか愛情が歪曲してて嫌な感じ。肝心の子供達は、シェモーナの症状の大幅な改善を中心に、彼女を操り人形にしていた姉のジェラルディンが崩壊していっていたように見えた。ジェラルディンが自分の手の平に釘を打ち付けて床に貼付けた事件が衝撃。手癖が悪く、行動が意地悪いけど、国の紛争に巻き込まれてひどいめに遭った事を考えればやっぱり可哀相。シェイミー、シェモーナ、マリアナの3人は通常学級に戻れたし、レスリーはトムと幸せに暮らして2013/02/26




