内容説明
31歳、31通りの人生。変わりばえのない日々の中で、自分にとって一番大事なものを意識する一瞬。恋だけでも家庭だけでも、仕事だけでもない、はじめて気付くゆずれないことの大きさ。珠玉の掌編小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みも
223
31歳、それぞれの31編。とは言え読者は十人十色…描かれる心情は、読者の境遇によっては40代であったり、シチュエーションによっては50代であったり…それぞれの心の揺らぎを描く掌編集。各篇、10頁に纏められておりどれを選んでも5分程度で読み切れる。作品ごとに関連性もないので僅かな隙間時間利用も可能だし、特段、涙を誘うような逸話もないので場所も選ばない。最優先事項…今の僕なら、やはり家庭かな。もっと突き詰めれば、妻。彼女との時間は何よりも大切だし、彼女が傍にいてくれるなら他のものを全て無くしても心残りはない。2021/05/11
さてさて
198
この作品では、”31歳”の今を生きる31人の女性たちが、それぞれに「ファースト・プライオリティ」に”こだわり”ながらそれぞれの人生を生きる様が描かれていました。31もの”掌編”があると、物語世界を理解して、その世界に入っていく繰り返しの集中力も要求されます。しかし、”31歳”に”こだわる”山本さんのさまざまな工夫によって、とても充実した読書の時間を過ごすことができました。一冊の本の中に31人それぞれの”こだわり”を見るこの作品。それは山本さんが物語に込めた強い”こだわり”をそこに見る素晴らしい作品でした。2022/06/09
mariya926
131
31人の31歳の物語。『そろそろ迷いが吹っ切れて、腹がくくれてて、でもやり直しもスタートもできる歳』それが31歳だそうです。私の31歳はどうだったかな?通信大学を卒業するのにいっぱいいっぱいだった気がします。新しいことに挑戦したり、別れがあったり、出会いがあったり…。ちなみに山本文緒さんの小説に出てくる男性って軽いというか女性に対してすごく興味がある感じがないのですが、元旦那さんの影響が大きいのかな?と感じました。2022/01/03
♡手乗りタイガー♡
64
ファースト・プライオリティー=最優先。31通りの31歳を描いた31編!なんかだいたい主人公たち「31てもう年なんだから」とかすごい多かったんやけど…31て全然年って思わないんだが…w30歳から色気が出ると思うのだが…wそして登場人物31人の中でも「冴えない」っていうのが多くてなんか悲しかったー…。でも山本さん独特の最後のサッパリ感は堪能できたっ☆本編中の「庭」バスの中で読んだにも関わらず泣きまくってしまった…リコリス。覚えた。最優先がだいたいサブタイになってたな^^自分が31歳になった頃ってまったく想像で2013/05/22
団塊シニア
62
31歳の女性、職業は色々、性格は共通してる感じはするが、どれもが日常生活の細やかな描写、そして愛、嫉妬、憎しみについての表現が丁寧で本当に読者を惹きつける素晴らしい短編です。2012/02/22