内容説明
江戸城内にある紅葉山御文庫(将軍家の蔵書)を管理する御書物方、新米同心の東雲丈太郎。書物が好きで好奇心旺盛、書物に関係があるとなるとどんな些細なことにでも首を突っ込みたくなる丈太郎は、次々と不思議な事件に巻き込まれる。年の瀬に丈太郎が懇意の古本屋に頼まれて払い出しの古書を買い付けに行った顛末を描く表題作ほか、江戸の歳時、風俗を巧みに織り込みながら温かな人情を描く短編シリーズ第三弾(講談社文庫)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
18
シリーズ3作目もこれまで同様、劇的でも派手でもない7つの短編連作ですが、読後のほっこりする心地よさがクセになります。なかでも「探書」「虫姫」「洲崎」がよかった。ただこれが最終巻のようで、本好き同心東雲丈太郎の話、もっと読みたかったなあ。2018/05/19
るすみら
16
御書物同心日記という名が冠されたシリーズの3作目。江戸期に将軍家の蔵書を管理していた書物奉行の部下、同心達の日常を切り取った物語。大きな事件は起こらず、心にさざ波が立つか立たないか、というような出来事が丁寧に綴られているのが良い。各短編のラストシーンが粋で、表紙のとぼけた風味もお気に入り。国内最高ともいえる蔵書を管理していた人たちの仕事内容が、初めて見聞きする事で結構おもしろい。実存する「幕府書物方日記」は東京大学史料編纂所から大日本近世資料 8-1~8-18として1745年(延享2年)分まで刊行のよう。2010/01/09
Syo
13
なかなか面白い2024/04/18
こおり
13
御書物同心(3) このゆるゆるした独特の面白さ。なんで続きが出ないのかしら。灰姫のことは未解決だし、丈太郎くんの嫁探しもまだまだこれから。是非お願いしますよ出久根さん。「百日紅はくすぐったがりの木」同僚の角一郎はあんまり好きなタイプじゃないんだけど、こういう事を考えるあたりが何とも憎めないキャラなのよね。今度、百日紅の木をくすぐってみよう2015/02/28
KAZOO
13
再読なので、三作目から読んでいます。このような職業があるということをよく作者は見つけたと感じました。やはり作者の職業が古本屋ということでかなり勉強されているのでしょう。副題が虫姫とはありますが、わざわざつけなくてもよかったという感じがします。2013/11/06