内容説明
「涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ」。恋人にひどく傷つけられ、泣けなくなった女の子。彼女に青年の心は届くのか(「泣かない」)。上手に別れるため最後にいちばんの思い出の場所へいく。そんな「さよならデート」に出かけたふたりが見つけた答え――(「スローグッドバイ」)など、普通の人たちの少しだけ特別な恋を綴った10篇。出会いから別れまでの一瞬一瞬をやさしく描く傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
140
様々な恋愛の形、別れを描いた作品で、どの作品も重くなく、穏やかで温かくなれます。 1番好きなのは、やっぱり表題作。 これから別れる恋人との最後のデートのお話。 何といぅか・・・緩やかに切ない不思議な感じで・・ 同調出来ることも多くて涙が出そぉになっちゃったんですが 読み終えるとスーッとあったかくなれます。
ユザキ部長
101
トランクにある十二連装のCDプレイヤー、前奏曲という名のスポーツクーペ(笑)なつかしい。かれこれ15年?20年弱前?短編なので大した感想はないがどれもこれもお洒落だなぁと思ってしまう。きっと色褪せない思い出ばかりなんだろうな。2016/11/23
優希
97
とても綺麗な短編集でした。さよならから始まる物語ですが、はじまりの話とも捉えることができると思います。普通の人たちの少し特別な恋。1つ1つがきらめいていて、恋する人たちに向けた視線が優しい。くすぐったくなるような甘さがまた好みでした。一瞬一瞬が丁寧で、静かに1つずつの物語を味わう読み方が正しいのかなと思います。2016/03/17
再び読書
86
読んでいて、嫌味が感じられない清清しい短編集。その反面、感動、苛立ち、悲しみが前面に出てこない物足りなさもある。ただ、総じて言うと気持ちよく読めた。荒っぽい言い方をすれば、SEX描写がある、片岡義男風と言う感じがしました。ぼちぼち、他の作品も読んでみます。2013/07/27
有
65
輪郭のない、ぼんやりとした優しい恋愛の形。どの話も別れは切なくも美しく、始まりはもどかしく甘い。同じ年頃の彼等は、特別な理由なく恋が始まったり終わったりすることに躊躇いもしなかった。ゆるやかな流れの中で、涙を流し傷付きながら、誰かを想っていた。どこか置いていかれた気分になるのは、理解出来ない、美しすぎる関係が広がっているからかもしれない。わからないから、わかりたいと思う。怒るという感情を感じさせないこの空気は嫌いじゃない。激しく揺さぶられることはないけれど、ゆっくりとすすむ時を感じることができる本。2013/06/27
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- 和書
- 食いしん坊エルフ 〈3〉