内容説明
列強諸国に蹂躙(じゅうりん)され荒廃した清朝最末期の北京。その混乱のさなか、紫禁城の奥深くでひとりの妃が無残に命を奪われた。皇帝の寵愛を一身に受けた美しい妃は、何故、誰に殺されたのか? 犯人探しに乗り出した日英独露の高官が知った、あまりにも切ない真相とは――。『蒼穹の昴』に続く感動の中国宮廷ロマン。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
428
予想以上に楽しめた。シリーズ中でも『珍妃の井戸』と『マンチェリアンリポート』は幕間の繋ぎの作品なのかという印象をがあり、実際にそういう側面も持っている。しかし、この作品に関していえば、ならではこその意欲的な趣向が凝らされ、読み終えた時に独特の感動を得ることが出来る。その冒険的な一面であるミステリ要素が、読前の敬遠する気持ちのかなり大きな要因でもあったように感じるが、一読の価値のあった綺麗な纏まりをした一冊だと、今になっては考えを改めた。今後の作品にどのように関わってくるのかも楽しみ。2021/08/02
HIRO1970
169
⭐️⭐️⭐️本年1冊目は浅田さんでした。蒼穹の昴の続編ということでしたが、またしてもやられました...。これで浅田さんの作品も28作目の読了となりますが、毎回唸らされているような気がします。まさか推理小説になっているとは...。近現代を物ともせず料理してしまう力量には驚きかつまいりました。2015/01/04
再び読書
124
「蒼穹の昴」の後の話と言うことで読み始めた。光緒帝の妃の死の真実に挑む浅田氏の語り口が面白い。西太后や袁世凱が学校で習った歴史と違う解釈で語られていて、意外な一面がみられる。光緒帝が目指した革命が失敗に終わり、義和団事変によって列強に切り取られていく清朝末期の悲しさが感じられる。最後に再び100年後の返還をまとめた大政治家李鴻章の偉大さに感心する。2013/06/13
Die-Go
123
名作『蒼穹の昴』の続編的位置付けの本作品。清朝末期の混乱の中、時の皇帝の寵愛を一身に受けた珍妃が井戸に投げ込まれて亡くなってしまった。その謎解きを浅田次郎がその独特の解釈で筆を取り表現する。哀しみと憂いが世界を彩っていく。前作に比べると勢いは若干欠けるが、それでも読ませるのはさすがに浅田次郎。★★★★☆2020/07/23
レアル
117
珍妃は誰に殺されたか!『蒼穹の昴』の番外編のようなこの本。義和団事件と絡めて真相に迫る。ミステリーというか恋愛小説というか。。学校で学んだ歴史とは違った視点で面白かった!そして『中原の虹』へ~♪2013/08/29