内容説明
現役判事が司法の抱える問題点を鋭く突く。不要に原告を疲弊させ、理不尽に被告を傷つけ、無駄に裁判を遅延させる「蛇足」の正体とは何か。戦後補償訴訟、中国人の強制連行、ロッキード事件、ロス疑惑、「悪魔ちゃん」事件など、現実の裁判を例にあげて蛇足の弊害を明らかにする。まったく新しい視点から裁判を論じた画期的な提言。裁判を見る目が一変すること間違いなし。
目次
第1章 晴らすことのできない濡れ衣(すわ、殺人事件発生;損害賠償請求訴訟提起さる ほか)
第2章 判決理由とは何か?(話題にすること自体に意義がある;理由とは何か? ほか)
第3章 饒舌禍の実例(ロス疑惑(実例1)
中国人の強制連行(実例2) ほか)
第4章 蛇足の弊害(当事者のマイナス;裁判所のマイナス ほか)
第5章 打開策はあるか(裁判所内で;法曹全体での打開策 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とくけんちょ
45
裁判例での判決を導き出したその理由について、筆者は問題視している。ここでの蛇足が、判決以上の大きな反響を生む場合があって、さらにはその部分のみについて不服である場合は上訴できない。つまりは裁判で勝ったのに、実質は負け戦となる場合がある。裁判官の自己満足のために、本来発生しないはずの個人、公の不利益が発生する場合がある。しかも、その蛇足を得たいがために社会運動として裁判を起こす者もいる。タイトルは平易だが、内容のインパクトは大きい。2019/07/19
ちくわん
7
判決文中の「蛇足」が司法としていかに問題があるものかを解き明かしている。「蛇足」とは判決を導き出す理由以外のもの。裁判官個人の意見であったり、判決と直接的な関係がない事実や推定。本来不要なものであるから、それに要する費用(証人の時間、裁判官の仕事時間、裁判自体の時間など)が無駄である。 一方、マスコミはこの「蛇足」が政治的であったり、衝撃的であるため重要視して報道する。 司法界が抱える根本的かつ構造的な問題だ。自分の身の回り、自分自身にも類した問題があると思う。2018/02/10
朱音
4
「裁判官が被告を優しく諭して鬼の目にも涙」的なものを想像していたのでちょっと期待はずれ。蛇足の弊害と言う観点からは非常に面白く読んだ。裁判の迅速化が必要とされる中、蛇足なんか付け加えている暇(それを調べるために費やす暇)ないんだよなぁ。2010/03/06
Dokinko
3
少々くどい文章ではありますが、理にかなおうとするとこうなるのかな。法律を元に白黒つけるというシンプルさは、ある意味人間的ではない作業であり、グレーを知るからこそ蛇足を付して積極性を持ちたくなるのも分かる気はする。グレーを知った上で、白黒つけるのはそれなりに勇気の要ることで、その厳格さによる苦悩は法律家の宿命なのだろう。判決の蛇足の弊害は司法の根本原理、役割、目的を鑑みると正当な主張かと思うが、論理的に白黒付けることに終始しすぎるとそれはそれで弊害もある気はする。この本の主張の反論も聞いてみたい2016/06/01
真
3
法律のことを全く勉強していない私ですが、伝えたいテーマははっきり分かることができました。また考えもしなかったことだったので、本当に盲点というか斬新な視点だなぁと思います。ただし、私には著者が言っていることは極端すぎるように思います。私は裁判というものは法律も重視しなければならないのは当然ですが、人間の意向を無視してはならないのではないかと考えます。また、本の内容としては同じことの繰り返しが多く、最初から最後まで読む必要性がよくわかりませんでした。テーマが面白いだけにちょっと残念でした。2013/10/22
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