内容説明
ありもしない怪異がなぜ起り、居もしない幽霊がなぜ出没するのか。昔なつかしいお化けのエピソードも豊かな民俗学者の幽霊研究。〈解説〉矢代静一
目次
幽霊の季節
幽霊と妖怪
場所に出る妖怪
人を目指す幽霊
家に憑く怨霊
浮動する霊魂
幽霊出現の理由
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
7ember
3
「ゆうれい」には二種類あって、怨みを持ってある特定人物に憑いて出るのが「幽霊」、そうではなく特定の場所に紐づいているのが「妖怪」だという。悼まれる側/悼む側で視点は逆だがフロイトの「喪」と「メランコリー」の区別を思い出す。面白かったのは亡くなった先妻が嫉妬して、夫ではなく後妻に祟るのは「女心」というよりも、平安文学にみられる正室と側室の対立という感情構造が、家族制度が更新された後の夫婦関係に投影されたのだという分析。2023/09/25
Gen Kato
3
今昔、源氏など古典中の古典から各地の民族伝承、御霊信仰の実例まで、さまざまな幽霊譚が扱われ、丹念に論じられているが、やはり抜群に面白いのは、作者が実際耳にした幽霊・妖怪譚。徳川夢声の著作にもあった田中河内介の話とか、かなり怖いです。2013/08/20
Jimmy
2
これが出だしから超面白く、超読みやすい。幽霊と妖怪はどう日本人の暮らしの中で変容して行ったのか?一気に読んでしまった。「妖怪」と「幽霊」の違いを見いだす、民俗学的アプローチそのものも面白いが、「源氏物語」が何人かの手によって今に伝わる形に変容して行った、というのが定説、と言うこと自体にも驚いた。2010/05/21
灰月弥彦
1
掲載している怪異譚の種類が今昔物語から昭和まで幅広い。2010/05/22
まる
0
勉強になった〜!2016/12/17