内容説明
補助的行為であっても取締役・会社間に競争関係が生じているとき、取締役が会社に先んじてその取引を行ってしまうことを許容するのが法の趣旨であるとは解されない。そこで、商法264条の適用範囲外にあるものまで含めた、広い意味の取締役の競争的取引規制法理を構築する必要がある。また、取締役の競業禁止規定は、もともと取締役個人の利益と会社の利益が相反する古典的な競業を念頭において制定されたが、今日的問題として、企業結合関係における兼任役員の営業取引行為が形式的に競業禁止にかかるとき、それについては従属・関連会社を通じた事業展開という企業戦略の尊重、従属会社株主の保護といった新たな規制理念をもって対処する必要があろう。本書はこのような問題意識の下に、幅広い視点から取締役の競業についての規制法理のあり方を検討するものである。
目次
第1編 アメリカにおける取締役の競業規制(会社の機会の理論;競業の制限)
第2編 イギリスおよびドイツにおける取締役の競業規制(イギリスにおける取締役の競業規制;ドイツにおける取締役の競業規制)
第3編 日本における取締役の競業規制(商法264条の沿革;商法264条の規制対象 ほか)
第4編 取締役の兼任と会社の機会・競業取引(企業結合関係にない会社間の取締役兼任;企業結合関係にある会社間の取締役兼任 ほか)
-
- 和書
- チェロの森