内容説明
近代政治学の古典として名高い『君主論』。その著者マキアヴェッリは、都市国家が並び立つルネサンスのイタリアにあって、共和政のフィレンツェ市書記官として活躍。国際政治の荒波のなか、軍事、外交にわたり東奔西走の日々を送った。その豊かな体験を生かして権力の生態を踏まえた統治術として執筆した名著を、政治学の第一人者が全訳し解説する。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
45
再々読。「これは信長の堺への対応」「これは三国志の張飛の死因」「同じく袁紹の敗因」「であれば土佐における山内一豊のやり方は案外暴挙でもないのか」「今川の兵を借りて成り上がった北条早雲だ」など、書かれている提言の具体例として好きな歴史小説を思い浮かべて読んだところ、前回よりも理解が深まった。西洋も東洋もその実態は魑魅魍魎が蠢く人の世。であれば統治における基本形や目指すべき真理が被っても不思議は無い。今の日本政府を著者が見たらため息しか出ないだろう。いやこのピンチこそ己を世に訴えるチャンスと捉えればいい話か。2016/08/21
Y2K☮
29
「銀河英雄伝説」と併読して理解が進んだ。優れた君主を待ち望む消極性はポピュリズムの温床だし、そんな逸材はめったに現れない。ならば各々が考えて行動し、これはと見込んだ者を支え、尻を叩き、公のために尽くすリーダーに育てる。腐敗する議員の大半は組織票で守られているから、もっと選挙へ足を運び、きちんと落選させる。本書を読むことで民主主義の特性と意義を再認識した。あと世襲制がダメなのではなく、後天的に適性や能力を持ち得ず、末端の心情を理解しようとしない政治家や経営者がダメなのだと確信した。韓非子や孫子も読み直そう。2024/03/11
樋口佳之
28
なによりも他人の財産に手を出さないようにすべきである。それというのも人間は財産の喪失よりも、父親の死の方をより速やかに忘れるものだからである。/うーん/他人の財産を奪う口実は決して事欠くことはなく、したがっていったん他人の財産の強奪によって生活し始めた者は、他人からそれを奪う口実を見つけ出すことになる。反対に命を奪う口実ははるかにまれであり、その口実はより速やかに尽き果てるものである。/各章の後の訳者解説ありがたかった2018/06/30
baboocon
19
マキアヴェッリの君主論、よく耳にはしていたけどようやく読了。君主とはこうあるべきというマキアヴェッリの主張は慈悲深いより残酷であれ、など一見異端にも聞こえるけれど、中世イタリアで諸侯が群雄割拠していた時代に書かれた時代背景や冷徹な事実の分析から導かれた当然の結論だったのかもと考えさせられる。P194の運命の変転と人間の行動様式についての記述は、現代のビジネス社会においても当てはまると感じた。2011/02/20
猫丸
17
共感力の乏しいオヤジが精一杯頑張って空気を読む術を編み出した、との印象。OLさん達が給湯室でささやく権謀術数はこんなもんじゃない、と思われる。体育会組織なら参考にできるかも知れない程度の認識。とはいえほとんどの上場企業ならレベルはこんなもんか。ちょっと気の利いた現代の若者なら本能的に取得済みの処世術なんではないかな。むしろ国家のリーダーであることを期待される人が、これを参考にしていたら恐いくらいです。人口も少なく、人間同士の摩擦が現代ほど頻繁でない時代の牧歌的自己啓発本に過ぎない。2020/05/28
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