- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
「自由に倦んだ」時代に問う、渾身の論考! 自己責任や援助交際、殺人を巡る議論など、自由にまつわる問題に様々な角度から切り込み、現代社会・思想が陥っている「自由のジレンマ」を乗り越える方法を探る。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(haro-n)
69
自分なりに記憶にとどめたいことを纏める。公共性や正義等についてかじっているうちに、自由って何なのか分からなくなり出会った本。バーリンの二つの自由の概念や多元主義を知る。また、現代の自由がよって立つ基本として①価値についての主観主義(価値は主観的なもの)→権利の、価値に対する優位②中立的な国家(価値の領域に国家は介入せず)③自発的交換の論理(個人の社会的活動は基本的に個人間の自発的な相互作用から成る)の3つの前提についても理解。援助交際を具体例に、この前提に立つリベラリストは、援助交際を認めなくてはならない2019/02/16
ふみあき
38
「自由とは何か」というタイトルだけど、とどのつまり現代リベラリズム批判の書。著者に言わせれば、一般的に対極に位置するとされるリベラリズムとリバータリアニズムも一つ穴のむじなで、価値や善を語ることを放棄した政治思想の行き着く先はニヒリズムだと言う。著者は自由も平等も生命尊重も否定し(これらは「手段」であって「価値」ではないらしい)、代わりに保守主義者らしく運命愛や仁義を掲揚する。うーん……。20年近く前に刊行されて、今なお増刷されているロングセラーの本書だが、個人的にはあまりピンと来なかった。2022/09/01
KAKAPO
31
あとがきで、佐伯啓思氏ご自身が「本書で、うねうねとあぜ道を歩くかのように論じことを、もう少し体系的に論じたいと思うけれど…」書いているように、読者の一人としては、自問自答の軌跡を歩かされた疲労感が半端ない…しかし、マイケル・J・サンデル教授の<正義>とは何か?という問いと同じように、答えのない(コンテキストによって変化せざるを得ない)課題に果敢に挑み、導き出した(現時点での)結論に向かって読者を誘うガイドとしての役割を果たしている。頂から見下ろす景色は、雲に阻まれ鮮明とは言えないけれども、達成感はあった。2017/07/23
樋口佳之
25
この「死者への責任」は、先ほども述べたように「共同社会に対する責任」と言い換えることもできる。もっと具体的には「国に対する責任」ということもできよう。/ここ意図的な飛躍あるでしょう。/2019/02/24
双海(ふたみ)
23
侏儒の言葉(芥川龍之介)の次の一節を思い浮かべながらの読書でした。「自由は山巓の空気に似てゐる。どちらも弱い者には堪えることは出来ない。」「自由主義、自由恋愛、自由貿易、――どの「自由」も生憎杯の中に多量の水を混じてゐる。しかも大抵はたまり水を。」 2015/05/17