内容説明
喜怒哀楽とともに、誰しも無縁ではいられない感情「嫉妬」。時に可愛らしくさえある女性のねたみに対し、本当に恐ろしいのは男たちのそねみである。妨害、追放、殺戮……。あの英雄を、名君を、天才学者を、独裁者をも苦しめ惑わせた、亡国の激情とは。歴史を動かした「大いなる嫉妬」にまつわる古今東西のエピソードを通じて、世界史を読み直す。
目次
序章 ねたみとそねみが歴史を変える
第1章 臣下を認められない君主
第2章 烈女の一念、男を殺す
第3章 熾烈なライヴァル関係
第4章 主人の恩寵がもたらすもの
第5章 学者世界の憂鬱
第6章 天才の迂闊、秀才の周到
第7章 独裁者の業
第8章 兄弟だからこそ
第9章 相容れない者たち
終章 嫉妬されなかった男
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
61
【女偏であり、嫉妬は女の性(さが)であり、男は嫉妬しないと言う者もいるが、男も嫉妬するのだ。始末に負えないほど】妨害、追放、殺戮。古今東西の英雄、独裁者をも苦しめ惑わせた亡国の激情を通して、歴史を読み直した書。2004年刊。<鷗外ほど、嫉妬に敏感だった男もいないだろう。明治の文壇で名声をかちえた鷗外は、軍医という変わった職業の世界で、いつも他人の視線を感じていた。それどころか帝国陸軍という官僚秩序の世界でも、必ず疎まれる存在であった。/同期前後の人間がしのぎを削る過酷な競争社会に生きていたのである>と。⇒2025/11/21
hit4papa
55
嫉妬の視点で世界史を切り取ったものです。歴史は夜作られる、でななくて、歴史は嫉妬で作られるを、洋の東西の文献から証明を試みています。ただし、嫉妬があったんじゃね?ぐらいの想像の範疇ではありますね。大きく歴史が動いた嫉妬もあれば、これでは歴史は変わらんだろという細やかな嫉妬による出来事も記載されています。軽い読み物としては最適ですが、ここから何かを学び得ようするとハズしてしまうでしょう。歴史の断片がトリビアとしてばら撒かれているような印象を受けます。なので、長く記憶に留めて置くのは辛いかもしれませんね。2020/10/26
Y
31
本書は「嫉妬」を切り口に世界史を論じるというもので、取り上げられる人物は国と時代を越えて幅広い。才能に恵まれて出世していく者は、周囲からの嫉妬によって不運な結末を辿る。世の中をうまくわたっていくためには、才能以上に周囲の反応を受け取れる感受性の高さや人に反感を持たれないためのふるまい方が重要だということがわかった。政治家、軍人、学者など様々な社会における嫉妬を紹介していたが、それによりそれぞれの社会のちがいなどもわかり、とても興味深かった。2013/01/04
かさお
23
面白かった。嫉妬というと女性のドロドロというイメージを持っていたが、性別は関係無いようだ。🔹臣下を認めない君主(上杉定正→太田道灌、徳川慶喜→勝海舟島津久光→西郷隆盛)🔹ポストをめぐる同僚への嫉妬(森鴎外、ヒトラー、ロンメル、牧野富太郎、東条英機、カエサル、スターリン、毛沢東)🔹兄弟間の嫉妬(島津義久と義弘、武田信玄と信繁)🔹例外として嫉妬を受けずに良い人生を送れた江戸時代の保科正之、、などなど。正直、嫉妬するのは感情だから仕方ないが、民衆や政治などに関しては国が滅ぶのでやめてほしい😅2025/01/29
fu
23
人々は成功者をねたみがち。歴史上の人物に焦点を当てて、嫉妬にまつわるエピソードをまとめた本。森鴎外、牧野富太郎、島津久光、ロンメル、カエサルなど登場。ではどうすれば嫉妬を避けられるのか?という問いに対応するのが終章のみで、考察が少ない点が若干物足りない。2015/02/03
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