内容説明
広次と薫の恋は、壮絶な結末を迎えた。それから18年後、薫の愛したふたりの娘は、美しい姉妹へと成長していた。美輝は北海道大学に入学し、正義感の強い修介と出会う。函館で祖母と暮す美哉は、愛してはいけない男への片想いに苦しむ。母は許されぬ恋にすべてを懸けた。翳を胸に宿して成長した娘たちもまた、運命の男を探し求めるのだった。女三代の愛を描く大河小説、完結篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
316
下巻に入ったところで、物語は思いがけない展開を見せ、読者は幾分かは戸惑いもするのだが、そうでありながらも、その後に続く世代交代はさほどの違和感なく、受け入れることができる。それにはタミの存在が意外にも大きいのかも知れない。また、畢竟この小説は女たちによって受け継がれてゆく「血」の物語であり、函館、南茅部、札幌といった強固な個性を持つ「地」の物語でもあった。もっとも、第4世代は男の子だったが。こうした血族の歴史に男が関与できることは、まことにトッピング程度のものなのだ。本編でも男たちの影のなんと薄いことか。2017/12/05
Lara
88
夫の弟の子供を出産し、揚げ句の果、夫に追われ、薫は海に身を投げ、弟も後を追った。残された、美輝、美哉姉妹は、薫の母、おばあと生きて行く。前編で薫が生きてきた人生が、重くて印象的であり、比べると、美輝、美哉の日々が、何だか軽くて作られたもの、そんな印象でした。2023/06/22
yomineko@鬼畜ヴィタリにゃん💗
75
薫と広次の最後が壮絶で余りにも惨かった。可哀そうな薫。本当に悲しい部分が多くロシア関連の話が出て来ると更に辛くなった。函館ハリストス正教会、行かなければ!行けば海猫の登場人物に会える気がする。気の強い長女美輝に対して繊細な次女美哉。見守るタミ、孝志、幸子、みんな好き。いずれ再読する事必須の本です。2023/08/08
美雀(みすず)
51
母親の悲しい恋と死にぶつかり、幼くして祖母に引き取られる。美しい異父姉妹はそれぞれの道を歩んで行く。姉美輝、妹美哉の絆は強い。娘のように孫を育て上げた祖母。上巻のドロドロ感が浄化されていくようで、前向きなストーリーに仕上がるのは見事。三浦綾子さんの名作「氷点」「続氷点」をコンパクトにしたような感じのお話でした。2014/03/19
あじ
50
海猫の羽ばたき、すすき野原のうねり声、そして厳寒の海鳴りが耳を掠めていく。私の周りのあらゆる雑音が消え失せ、人の存在も見えなくなる程に没頭して読んでいた。昭和の函館と南茅部を舞台にした男と女と、親と子の物語。漁師町の潮焼けした風土と時代の埃っぽさが、熱を帯びていく肌にしっとりと張り付いてきた。女の悦びと男の独占欲で渦を巻く高波に、私は何度も飛び込んで行った。欲していた恋愛小説に出会い、渇きが満たされていく快感で意識が遠退きそうになった。2016/10/22
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