集英社文庫 ものいふ髑髏

著者名：夢枕獏【著】

集英社（2013/10発売）

• ISBN：9784087477276

内容説明

金貸しを営む銭法師の喜久五郎という男が墓所の近くを歩いていると、衣の裾にしゃべる髑髏が食いついてきた。その口車に乗り大儲けを企てるが、恐るべき復讐に遭い……（「ものいふ髑髏」）ほか、登山事故の入院先で体験した奇妙な出来事や、暴漢に襲われた男が垣間見る悪夢など、平安朝物語から日常に潜む恐怖や不思議現象まで、怖くて妖しい物語10編を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[KAZOO]

様々な分野の短篇が10編入っていてかなりお得感があるのではないでしょうか？ただ私はエロティックなのはあまり好みませんが。特に表題作と最後の陰陽師に連なる系統の平安時代ものが私の好みです。白石さんの朗読会でも演じられたそうですが、言葉に出して読んでみるのもいいのかもしれません。

2014/12/10

[wata]

父の書棚より。やっぱりゾクッとするのは「抱き合い心中」。「ものいふ髑髏」と「びくいしとい」はどこかで聞いたような…夏の夜にはちょうど良い物語。

2019/08/30

[キムチ]

子供の頃、雨月や霊異記を面白く読んだ。その香りがするとはいえ筆者の事、タバコをくゆらしながら、肩に力入れず書いた雰囲気が楽しい。文豪の手になるそれとも異なる。巻末を読み、納得。白石さんや橋本氏の世界と通じているんだ。掌サイズが10編、血迷い、酩酊で、熱に浮かされて、慙愧の念で・・どうでもいいが　人が平静心を失った時に漂う残像のようで筆者の思うつぼにストン。「びくいとしい」だけ、どう読んでも解らなかったけど、のちに納得。まずは装丁からその世界へ誘われてほしい。

2014/11/07

[Our Homeisland]

この作者のものを読むのは初めて。なかなか不気味な怖さで、面白くて満足です。短編集に、いろいろなスタイル、語り口のものが入っていて、ひねりとか考えさせられるといかではなく、ストレートに怖いというものが多かったです。　しかけがあって種明かしがあとがきに書かれている、真ん中あたりにある短編については、タイトルを下から読むというのには気が付いたのだが、こういう仕掛けだとは気が付かなかった。

2014/04/27

[やどかり]

不気味な、奇妙な世界を覗きこんでしまったような短編集。全編陰陽師のような話かと思っていたら、現代の話もあり、漠さんの体験っぽく書かれているような作品もあった。やはり時代物の最後の2編がよかった。あとは「抱きあい心中」が怖くて印象に残る。「二本肢の猫」のオチも想像すると恐ろしい。

2015/03/24