内容説明
自分は殺人を犯したらしい。相談したい。そう言ってポアロを訪ねてきた若い娘は結局何も話さず立ち去ってしまった。その午後、事情通のオリヴァ夫人から事情を聞いたポアロは俄然興味を示し、夫人とともに調査を始める。だが娘の周囲に殺人の匂いはなく……死体なき殺人の謎をポアロが追う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
263
「人を殺したかも知れない」と相談に来た若い娘が、ポワロを年寄だと言い、帰ってしまう。しょげ返りながらほって置けないと調査を始めるポワロ。この探偵は人から話を引き出すのが巧い。そして相手の言葉を絶対に信用しない。殺人の有無さえ判らぬまま若い娘の心の秘密を探っていく本作でも、ポワロの話術が一つの見所だった。クリスティーの作品は心理ゲームであり、あらゆる会話が、人の本質にハッと気づかせるユーモアを含みながら、謎解きのヒントにもなっている。まったく油断がならない。読む間、何度も作者の悪戯っぽい微笑を思い浮かべた。2022/05/01
こーた
191
タイトルが良い。原題のThird Girlには幾つかの意味がこめられていそうで、原文が読めればもっと愉しめたのでは、とおもわされる。僕の大好きな、事件化されていない事件は、過去にもあったが今回は殺人どころか死体すら見つからない。ヒッチコック顔負けのサイコスリラー感さえあって、読ませる。晩年のクリスティーは、本人の意図がどうだったかはわからないが、より文学的になっていったようにおもう。トリックの驚きを期待して、ついそれに引っ張られてしまうけれど、もっと違う読みかた愉しみかたができるような気がしてならない。2023/07/12
NAO
85
自分は人を殺したかもしれないと怯えるノーマ。彼女に年寄り扱いされて傷ついたポアロが、彼女の言葉の真相を探る。ちょっとした芸術家気取りの不摂生な若者たちの行動と常識人である年配の者との考え方のギャップを底辺に盛り込んだ、ミステリアスな話。表紙のクジャクはあることの暗示なのだが、なんだかなあ、のクジャク。2021/05/17
Tanaka9999
61
「第三の女」。タイトルはあえて別なものにした方がよかったかも。「死体なき殺人」とい書かれているが、途中まで殺人自体が起こっていることがわからなかった。正直謎解きの道筋がさっぱりわからず、最後の部分を読んであっけにとられてしまった感じ。2018/11/16
yu
56
Kindleにて読了。ポアロシリーズ。第三の女とはそういう意味でしたかぁ。ちょっと(とういうか、個人的にはかなり)真相に迫るまでの道のりがまどろっこしく感じてしまった。結果を知ると、必要なプロセスだとは思うんだけれども。。。2018/08/25
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