内容説明
ブッダの伝記は数多い。本書は人間としてのブッダに焦点をあて、ものがたりとして立松流にわかりやすく書かれたものである。白象が王妃の胎内にはいり、王子となって産みおとされたゴータマ・ブッダ。王としての資格を十分に備えていながら出家を決意するゴータマ・ブッダ。出家してからは、悪魔の群れの中で瞑想を続け、悪魔ナムチとの対話という修行ものりこえる。そして、ゴータマは、さとりをひらきブッダとなって、苦しみという人間ならではの現象を、十二因縁(無明・行・識・名識・六処・触・受・愛・取・有・生・老死)にわけ、誰にでも分かるようにして説いた。もちろん説法の道は険しく、最初の伝道には失敗もしている。しかし、時には奇跡や神通力を見せながらも、次第と弟子を増やして自らの使命を果たしたブッダは、最後にあたりまえの人間として死んでいくことを受けいれる。つねに不安に苛まれ死を受け容れられない現代人の生き方を本書は問い直す。
目次
第1章 ゴータマとして生まれたブッダ
第2章 出家してからのゴータマ
第3章 ゴータマはさとりを開きブッダとなった
第4章 説法という大いなる道を歩きだしたブッダ
第5章 あらゆる人に真理を説くブッダ
第6章 社会の中で大きな存在となった仏教
第7章 自分の認識を語りつづけるブッダ
第8章 自分の死を予言したブッダ
第9章 最後の旅へ出たブッダ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
20
《kindleunlimited》一人ひとりにとってのブッダがあることを著者は読み手に静かに語り続ける。ブッダの悟った真理が何であったのかは、結局、ブッダ自身にしかわからない。後世の人々はたとえ覚者であったとしても他人(ブッダ)の認識は推量するほかはない。ブッダは進むべき方向は私たちに指し示してくれた。あとは一人ひとりが自らを信じて進みゆくのみだ。仏はまさに自らの内に在る。作者の朴訥とした穏やかな声が、聞こえてくるような気がする。2023/01/03
さだはる
1
簡単な様でいて、実はとても難しいというタイプの本。2010/09/12