ニュースがまちがった日 : 高校生が追った松本サリン事件報道、そして十年

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ニュースがまちがった日 : 高校生が追った松本サリン事件報道、そして十年

  • ISBN:9784811807140

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内容説明

高校生がメディアを逆取材インタビュー! 冤罪報道はなぜ起こったか。学校そばで起きた事件に疑問を抱いた高校生たちが報道記者の証言集を制作、過熱する事件報道の原点を読み解く渾身のドキュメント。メディア・リテラシー実践書でもある。

目次

プロローグ 松本サリン事件発生 学校の目と鼻の先で事件は起こった 農薬調合ミス? 被疑者不詳の家宅捜索第1章 もうひとつの学校──放送部、ニュースを追う1 朝から晩まで協働クラブ 放送部は「もうひとつの学校」 先生、もしこの報道がまちがっていたら? 警察がまちがうと、メディアもまちがう? 今度はニュースがオウム一色に2 部活は仕事場 地下鉄サリン事件で急転、いっせいに謝罪放送 表現作品は、つくって壊して再構築する 部活最初のハードルは親の反対 放送部の「甲子園」、NHK杯コンテスト3 テレビ報道を追え 報道被害の当事者・河野義行さんを取材 高校生の実感ときり結ぶ取材の切り口はどこに? 新聞とテレビ、どちらを追うか マスメディアができない取材をしよう第2章 ニュースの裏側──現場記者を取材する1 現場でなにが起こっていたか 取材しても、されることはないマスメディア 発生当夜から翌朝第一報まで 東京発で「薬品調合ミス」情報が入る 警察情報とキー局とのはざまで 現場記者には見えない全体像 河野さんから託されたメッセージ 真犯人があがるまで訂正できない? マスメディアの「弱さ」にふれて2 「テレビは何を伝えたか」音声作品づくり 「出口がない」と語った記者 閲覧可能期間三か月をめぐる攻防 取材テープをどんな視点で編集するか 報道部長のきびしい批評3 作品の波紋と実り NHK杯全国高校放送コンテスト決勝大会 この作品は放送できない? 地元市民とマスメディアとの温度差 報道に「絶対」はない第3章 メディアの特性を知る──ビデオ証言集づくり1 報道部長に聞く 批判だけでないビデオ証言集を なぜ、謝罪したのですか 再発防止策はあるのですか2 メイキング・ザ・ビデオ証言集 メンバーの討議はつづく 報道被害を受けた人は、どこに言えばいい? 報道映像を保存して、だれもが閲覧できるなら ラストコメント、さあ、どうする? 「相手を知る」ことで視聴者が変わる 信越放送を再取材する3 マスメディアの「弱さ」 放送部のNHK取材をTBSが取材? 資料集制作に向けてNHK長野へ 「農薬調合ミス」情報は、なぜでたか 現場記者からの情報を、デスクはどう判断するか 批判ではなく、弱さを描いた第4章 メディア・リテラシーの旅──批判を越えて1 消えない壁 「ニュースの森」でビデオ証言集が放送される 突然の電話、あわてる記者からの要求は…… マスメディアは他人の批判は得意だが2 授業もメディアだ 部員のきみたちが授業をすればいい 「教える」ことのプレッシャーがのしかかる 1時間め 初めての先生役に顔面ソーハク、脂汗 2時間め 映像実験を交えた授業に教室が沸く 授業って、双方向メディアだ3 「受け手と送り手」再考 文化祭で一般の人を対象に公開授業 伝えれば伝えるほど拡大するギャップ 受け手と送り手が融合する仕掛けを探る4 「記者の一日」授業づくり 記者の一日を密着取材して、授業をつくろう もめる職員会、「超法規的に……」 プロの取材スタッフにはロケ弁なし? テレビも放送部も同じ手順を追っている 批判病──ニュースに「演出」はご法度か5 関係性のメディア・リテラシー 授業はテレビ局の人をゲストに迎えて 受け手と送り手がリアルタイムで作用しあう関係 メディアが伝えるものは、構成された現実 メディア・リテラシーはコミュニケーションを豊かにする道具 松本美須々ヶ丘高校を去るエピローグ 十年めの放送部・保護者会 保護者も元部員仲間のように 教祖一審判決──この十年、マスメディアは変われたか 地域住民を戸別訪問した部員たち 再会を約して年表 松本サリン事件と報道の経過

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

_apojun_

7
図書館本。 松本サリン事件に関するニュース報道について、高校の放送部が深く掘り下げていく過程を顧問の先生が著しています。 時々学生時代は放送部だったという人にお会いしますが、放送部の活動というものを全く知らなかったので、そういう意味でまずとても新鮮でした。 単なるメディア批判になりそうなところを先生がうまくコントロールしていったことにより、メディアリテラシーという今では当たり前のように語られる概念にたどり着いています。 彼らが今のメディア状況を見て、どんな風に感じているのか聞いてみたいです。2025/08/10

なー

5
「一番遅かった時は朝4時だった」高校の放送部の部活動終了時刻の話である。4時て。こんな部活があるのかとびっくりした。事件当時まさに高校生だった私は、情けない事に自分の事で頭がいっぱいで事件の記憶がほぼ無いに等しい。本当に情けない。マスコミの誤報を世間も鵜呑みにして、罪のない一般人を犯人扱いしたという前代未聞の事件を高校生達が取材して出来上がった作品。高校生達が伝えたかった事とは…?正直「この本を書いた先生の作品」になっている気もするけれど。2019/12/02

saemo

3
世紀の誤報『松本サリン事件』について、メディアが何故犯してしまったかについて放送部の高校生たちが取材した過程を記したドキュメンタリー。まずニュースがまちがわないことの方が少ないというのは置いといて、高校生たちだからこそメディア・リテラシーについて迫ることが出来たのではないかと思う。テレビの影響力を考えると学生のうちに一度は手にとって貰いたい本。2009/08/10

おたきたお

0
高校の放送部による松本サリン事件の検証番組作成過程を顧問の先生がまとめた本。教育論、マスコミ論、コミュニケーション論、組織論など様々な側面で有意義な力作。情報媒介モデルとして、授業とマスコミの共通性に着目した、生徒による授業は圧巻。課外活動を中心に活動された著者のパワーに脱帽。著書の結論は心底同意する。「あえて「敵」をあげるのであれば、(中略)「正しいあり方」という「固定概念」である。(中略)変わっていく関係性を追い求めつづけることこそ、私たちがいま、おこなわなくてはならないことである。」(P248)2006/01/01

nody

0
マスメディアの弱さ、批判への過剰反応/メディア批判病(演出は御法度?)/青い血/関係性のリテラシー、コミュニケーションのバランサー2013/08/26

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