内容説明
警視庁江戸川警察署の合同捜査本部で一人の青年が逮捕された。容疑は大学時代の友人を刃物で殺害したということ。だが、万全の証拠は揃っているものの自白まで持ち込めない。それどころか青年は「澄んだ目」で無実を主張し続ける――。不審に思った紺野巡査部長は捜査本部が省いた不審者に接触、青年の過去を調査し「澄んだ目」の正体を確かめようとしたが……。旧来の捜査手法に異を唱える、警察小説の問題作登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
31
すっとした立ち姿から若い検事かと思わず紺野刑事が会釈したのは、合同捜査本部が殺人事件の容疑者として逮捕した芝山だった。芝山が犯人とする物的証拠は万全。だが彼は犯行を毅然として否認する。そこへ所轄の署長から紺野に、捜査本部を刺激しないように芝山の周辺を“調査”してほしいという特命が下る。定年を5年後に控えた紺野はパソコン嫌い、ケータイも使いこなせないし、運転免許も持っていない落ちこぼれ刑事だが、じつに味のあるキャラクターで、その人物像に魅せられて読了。佐竹さんの警察小説はどれも刑事が読みどころのようです。2021/08/27
蕭白
13
意外な結末に、ちょっと消化不良気味でしたが、最後の1行に、主人公の良さが出ていたように思い、読後感は悪くなかったです。2018/09/02
えむむ
6
紺野さんが最後かっこよかった! 2023/07/02
あかつや
4
合同捜査本部が検挙した殺人の容疑者は証拠が揃っているにも関わらず自白しようとしない。それどころか「澄んだ目」で堂々としている。うだつの上がらない老刑事の紺野は上司からその目の理由を調べるようにとの特命を押し付けられる。警察出身の作者の旧来の捜査手法に対する思いってのは伝わってくるんだけど、それが小説としてどうなのか。色々調べた結果見えてくる真相というか、紺野刑事の推察も特に衝撃的なものでもなく、まあぶっちゃけ面白くない。そして最後があのモヤッとしたラスト。といってもモヤモヤが後を引くってほどでもないし。2022/09/05
アカツキ
4
澄んだ目をしたその男は黒か白か。新人類型と呼ばれる罪悪感のない犯人がニュースを賑わせた時期の出版だったのかな。やるせない気持ちになる結末は著者らしいなと思った。2016/07/07