内容説明
博打打ちは例外なく、皆、臆病である。博打で生きている限り、現金以外は武器にならない。彼らにとっての恐怖は、負け続けることではなく、負けて現金が尽きることである――。絶対ガン札は出来ないといわれているヴァイスクルの封切版カードで、日本ギャンブラーを手玉にとるメリケンお玉。韓国のカジノで15分で1500万稼ぎ、勝ち役の名が鳴り響いている空野とノミ屋ゴロシのプロ車券師。ギャンブルを通して、人間の切なさ、哀しさ、凄まじさを描いた阿佐田哲也の傑作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
euthanasia
1
前半は阿佐田の一人称のエッセイだが後半になるにつれ三人称視点の小説に変化していく。ノンフィクションとフィクションがこの作品内ではグラデーションのように連続している。阿佐田哲也にしては珍しく(?)メタフィクショナルな構成の、それこそポストモダン小説と見紛う奇作。2012/04/03
ほらいぞん
1
エッセイなのか? しかしメリケンおタマ~空野vs社長は架空な気がビンビンする。廃頽的で落ち目の話しかないため大衆小説よりは文学に寄っている作品だと感じた。それにしても阿佐田哲也、張っては負け打っては負け。ダメダメに見える。そして分析/言い訳w まぁ自著で自分を褒め称えられたらそれはそれで反発を覚えるであろうからこれでいいのだろうが。それにしても氏の作品ではギャンブルに関わった人らは破滅にしか向かわない。しかしそれが博打打ちなのであろう。おおこわいこわい。太く短く、とは言ったものである。2010/10/26
ゆーいちろー
1
はじめの方は、実名を使った麻雀エッセイ風読み物なのかと思いきや、後半だんだんとおそらくは架空の人物がクローズアップされてきて、ついにはいつもの食うか食われるかの勝負になっていく。虚実ないまぜであって、それがまた一風変わった読書感を与えてくれる。大筋は全て、同じような展開であるにもかかわらず、毎回微妙に目先を変えて楽しませてくれるのは、さすがとしか言いようがない。2010/10/13
de thomaso
0
麻雀日記なのか、それともフィクションなのか……? どこまでが現実でどこまでが小説なのかがわからない、虚実入り交じるギャンブル作品。2017/09/20
taka
0
文章が上手いのでサクサク読めます。が、麻雀などルールを知らないと読んでも面白くないと思います。「往生と往生寸前は違う」という言葉が出てくるのですが、日常生活に置き換えると「あきらめない」ということでしょうか。破滅がかかっているだけに重みが違います。2015/01/02