内容説明
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃ……」エルサレムを訪れていたポアロが耳にした男女の囁きはやがて死海の方へ消えていった。なぜこうも犯罪を連想させるものにぶつかるのか? そんな思いが現実となったように殺人は起こった。謎に包まれた死海を舞台に、ポアロの慧眼が真実を暴く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
498
読んでいなかった作品。コレは掘り出し物でかなり面白かった。ミスリードの仕方と犯人の設定の仕方がとても上手。個人的には前半、殺人が起こるまでは若干退屈になりかけたがこれは好みの問題だろう。ボイントン一家の、特に夫人の描写が、現代においてはそこまで異常性を感じないというか、ただのみみっちい小物に見えて、しかも成人した男達がそれに逆らえないという、主要人物たちのスケールの小ささが目立ち、あまり逼迫感を感じられない。そこを笑って許して読めば、最後の解決編で虚を突かれる喜びが待っている。2018/05/02
パトラッシュ
221
学生時代にクリスティー全作読破の目標を立てて達成したはずだが、三谷幸喜さんがドラマ化すると聞き云十年ぶりに読み返すと全く覚えていないのに愕然とした。死海周辺を舞台としたトラベルミステリの要素もあり、霜月蒼さんの評価通り優れた作品と思う。しかし『ABC』や『オリエント急行』などに比べ地味で知名度が低いのは、ボイントン一家の内面描写に筆を費やしすぎたためか。クリスティーは巧妙なトリックにサラッとした文章が特徴だが、今回は慣れない部分に手を出して物語の軽快さが失われている。殺人の動機が今ひとつなのも問題だろう。2021/03/03
ehirano1
211
かつて女看守だったボイントン夫人は自分の家庭においても看守を務め、我が家さえも刑務所にしてまった被害者、という時点で感情移入と強烈な確証バイアスを生々しい心理描写により埋め込まれました(これってある意味怖いですよね?)。そんな中、丁寧且つ根気強い心理学的推理により確証バイアスの牙城を1つ1つ崩していくポアロは圧巻でした。2026/06/22
Kircheis
193
★★★★☆ ポアロ中近東シリーズ第三弾。 この作品はペトラ遺跡の画像をPCで流しつつ読破。 「私は人殺しを絶対に許しません」というポアロだが、途中で『オリエント急行の殺人』のことを突っ込まれてたのが印象深い。 犯人は最後まで分からず、動機もあっと驚くもので読み応えがあった。しかし、犯行自体は割とずさんな成功したのが不思議なほどの代物だったように思う。 ボイントン家の面々が最後には予定調和的に全員幸せになっているのも好みではない。とはいえおもしろかったけど笑2018/12/27
修一朗
174
ポアロシリーズもコンプリート目指して少しずつ進めています。これ「死海殺人事件」ていうタイトルで映画になっている。以前観たはずなのに何も憶えていませんでした。せっかくの中近東シリーズなのでもう少しペトラ遺跡の魅力が描かれていてもよかったな。書かれたころはイスラエルはまだなかった時代、でも通訳がユダヤ人の文句ずっと言ってる、とか当時の雰囲気が感じられて興味深い。現在の深刻な事態とはだいぶ違う印象だ。こんな一人で動けない太った病気のばあさんに支配されている家族はちょっと想像つきにくいな。びっくりの犯人でした。 2024/09/29
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