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内容説明
奈良東大寺の大仏建立に重要な働きをした行基は、「地獄」の思想を庶民に広め、利他の菩薩行を推し進めて、革新的な労働倫理を作り出した。これはマックス・ヴェーバーが、西欧の近代資本主義の精神的な推進力としたカルヴィニズムの倫理と同じもので、つまりわが国には、八世紀の天平時代、すでに〈資本主義の精神〉が存在していた……。この衝撃の一冊で、あなたと日本の進路が決まります。
目次
第1章 「天職」という考え方
第2章 最初の宗教改革者・行基
第3章 欧州より早い宗教改革
第4章 日本における「天職理念」
第5章 商人の哲学
第6章 資本主義の運命
第7章 二十一世紀の資本主義
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
110
長部さん独特の理論が出てきました、。たぶん「マックス・ウェーヴァー物語」を書いているうちにこのような考え方は日本にもあると思って書かれたのでしょうね。置くもああこんな考えかたができるなあと驚きのほうが強い感じでした。むかし石門心学については少し勉強したのでこのような考えもありかなあという感じです。2016/05/25
こにいせ
5
ウェーバーの『プロ倫』における、西洋資本主義の発達をプロテスタンティズム(というかカルヴィニズム)と結びつけた考察が、日本の宗教指導者の行動に似ているという指摘。すなわち、行基や法然のやったことが多分に資本主義、というわけ。これが日欧だけの局地的現象か、あるいはイスラーム社会においても似たようなアナロジーが指摘可能かどうかは、引き続きどっかの社会学者か宗教学者か経済学者がやって欲しいところ。文章も平易で読み易い。まあ直木賞作家に巧いっすね、なんていうのも失礼な話か。2010/05/26
スズツキ
4
題名から推察される通り「プロ倫」を仏教にあてはめての推察。確かに労働に従事した人たちの意向は多々あろうが、計画したものたちはそれに該当するだろうと奈良時代の大仏造立あたりに見て取れる。面白かったのは石田梅岩の幼少期。こんなバックグラウンドがあったのか。2015/08/23
kamiya
2
マックス・ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で、資本主義のルーツをプロテスタンティズムにあると言っている。ルーツは仏教にもあるのではないかということを探る内容。予想以上に難しい内容だった。2023/11/28
BATTARIA
1
資本主義の原点がプロテスタンティズムなのは有名だが、キリスト教を排斥した日本に、資本主義の原理を植え付けたのは二宮金次郎…のはずが、全く意外な人物の名が出てきたので驚いた。誰が元祖かではなく、日本の仏教はそういうものだということだ。ただ、「日本の最大の武器は憲法第9条」というお粗末な締めくくりにはガッカリ。2012/04/01