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内容説明
絵は黙って鑑賞しなければいけないものなのか!?若い二人が手をつないで何気ない会話を交わし、老夫婦が微笑みを返す。目を輝かせ、しあわせそうに歩きまわる来館者たち――。美術館は本来、自由気ままに「楽しんでもよい場所」なのである。「絵は美しいもの」との幻想に憑かれ、感動を強要されている日本人。芸術の見方にルールはないのだ。窮屈な雰囲気を打ち破り、日本の美術館が幸福な人びとで満ちあふれることはないものか。世界各地をめぐった著者が、美術館のある風景、文化・芸術の核心に斬り込むトラベル・エッセイ。美術館リスト付[内容紹介](序)人は何のために美術館へ行くのか?
目次
序章 人は何のために美術館へ行くのか?
第1章 静穏な日常としての美術館―ロンドン、パリ
第2章 歴史が彩なす建築と美術館―ヴェネツィア
第3章 戦争と芸術、理念としての美術館―ベルリン
第4章 オトナを磨く美術館―ニューヨーク
第5章 小さな国々の大きな美術館
終章 文化を受け継ぐということ―コモ湖のほとりで
世界のおすすめ美術館アーカイヴ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
22
著者は言う「美術館」は多様な価値の器であり、そこを訪れる人たちにさまざまなものの見方を示して、いろんなことをかんがえるきっかけとなる場所だと。本質的に、日本のように禁欲的に静かに美術品と向かいあうのではなくて、作品について気兼ねせずにお喋りをしたり、美の女神の祝福を受けて恋人同士がキスしたり抱きしめあってもいいのだと。。。さてさて、実は、この前、美術館で恋人と抱き合ったのを学芸員さんに見つかって冷たい目でみられた私だけど、別にそれでもかまわないんだと後押ししてもらった気がします♪2012/07/25
aisu
9
ロンドン、パリ、ヴェネツィアなどに滞在して、美術館などを見るあたりは面白かった。私も短期滞在でもスーパーで食材を買って、簡単な自炊してみたい。街歩きレポもステキです。著者のアメリカアゲ、日本サゲには…日本への愛と心からの心配ゆえだとは思うけど、もうお腹いっぱいになった。2015/07/26
ゆっき~
3
美術館は異なる様々な価値観に触れられる場所だって私も思います。美しいものを見るから勉強になるんじゃなくて、色々な考え方があるってわかるから勉強になるんだと思う。著者の言う通り、美術館には愛が必要なのだ。たくさんの人が美術館でハピネス感じられるようになるといいですね!著者名だけ見て博物館学の本かと思ったら違った。普通に世界の美術館案内だった。がーん。しっかし相変わらず岩渕さん(知り合いではありません)アツいですね!!2012/05/10
Mine
1
難しい美術史の知識がなくても「良いものは良い」と鑑賞することが大切と説く姿勢に共感。しかしながら、海外では美術や芸術の話なども含めてそれがベースとなって教養を図るモノサシになっており、国際会議などでヘッドテーブルでの会話の内容で試される点など芸術が生活の中の一部なのかもしれないと感じる。訪問記が興味深く、ニューヨークにも多々小さな美術館が点在しており、今度訪れようという気になります。2019/05/11
やまみち
0
ヨーロッパやアメリカの美術館めぐりとハイソな社交の話がおもしろい。コモ湖畔の老舗ホテルの話とか、NYのパーティの話とか。自分には全く縁のない世界の話でへえへえへえ。こういう美術館を回ってみたいものである。2004年刊行。それにしても、このあいだ酒井さんの負け犬(2004)を再読したときも思ったのだが、2000年代初めの威勢のよさ。今とくらべた閉塞感の無さはなんなんだろうな。眩しい。パリは政治的な街である、という記述も今読むと色合いが全くちがう。2016/01/09