探偵小説と日本近代

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探偵小説と日本近代

  • 著者名:吉田司雄
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  • 青弓社(2014/07発売)
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  • ISBN:9784787291707

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内容説明

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科学的な言説と大衆的な不安とが交差するなかから誕生した探偵小説は、時代をどのように表象してきたのか。近代文学の探偵小説的なるものの系譜を追いながら、魔的で奇怪な物語空間を縦横無尽に論じ尽くす論考集。

目次

序章 探偵小説という問題系──江戸川乱歩『幻影城』再読 吉田司雄
 1 『幻影城』というカノン
 2 「変格」と「本格」
 3 「発見」された「起源」
 4 『幻影城』の外へ

第1章 前衛としての「探偵小説」──あるいは太宰治と表現主義芸術 原仁司
 1 探偵小説と精神分析──佐藤春夫を例として
 2 モンタージュ──太宰治と探偵小説(1)
 3 モンタージュ──太宰治と探偵小説(2)
 4 倫理的課題──探偵小説における「罪」の概念

第2章 近代日本文学の出発期と「探偵小説」──坪内逍遙・黒岩涙香・内田魯庵 高橋修
 1 坪内逍遙の翻訳探偵小説
 2 「自叙体小説」=「探偵小説」の試み
 3 黒岩涙香『無惨』の探偵
 4 内田魯庵の「探偵小説」批判

第3章 さまよえるドッペルゲンガー──芥川龍之介「二つの手紙」と探偵小説 一柳廣孝
 1 芥川と「探偵小説」
 2 「二つの手紙」──ドッペルゲンガーと探偵小説
 3 さまよえるドッペルゲンガー

第4章 探偵小説と変形する身体──谷崎潤一郎「白昼鬼語」と江戸川乱歩「鏡地獄」 森岡卓司
 1 探偵は代行する──江戸川乱歩の探偵小説論
 2 身体と他者の痕跡──谷崎潤一郎「白昼鬼語」
 3 身体と他者の不在──江戸川乱歩「鏡地獄」
 4 探偵の臨界

第5章 砕け散る暗い部屋(ルビ:カメラ・オブスキュラ)──小栗虫太郎『黒死館殺人事件』と電気メディア時代 永野宏志
 1 精神分析と探偵小説
 2 電気仕掛けの語り手
 3 情報の寓話(ルビ:アレゴリー)
 4 回転扉の建築
 5 電気抵抗(ルビ:レジスタンス)する読者

第6章 戦後文学としての本格推理──横溝正史『本陣殺人事件』再考 小松史生子
 1 本陣──「家」をめぐる物語
 2 定住への憧憬──戦後住宅事情と「密室」
 3 戦後文学としての本格推理──プライベートへの渇仰

第7章 「五〇年問題」と探偵小説──戦後文学におけるジャンルの交錯 紅野謙介
 1 「五〇年問題」とは何か
 2 新日本文学会の分裂
 3 占領下の文学市場
 4 大衆文学の戦後
 5 読者と大衆
 6 「人民文学」の作家たち
 7 『真空地帯』と探偵小説
 8 中薗英助のスパイ小説

あとがき 吉田司雄

年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

34
探偵小説界の中心人物が探偵小説史を書くならば、自己言及はさけられず、客観性に問題が残るのは確かだろう。日本の推理小説の歴史として定着している見方を、乱歩の『幻影城』にこだわった史観ととらえ、そこにこだわらない探偵小説の近代史を問う試み。8人の執筆者による論文それぞれの探偵小説観が興味深い。明治の黒岩涙香、昭和の小栗虫太郎についての論文が特に記憶に残る。2017/03/02

つまみ食い

4
涙香や逍遥(本人の小説論とは時に矛盾しながらも、探偵小説に分類できる小説翻案を新聞に連載)ら探偵小説の黎明期から戦後期に至るまで、文学研究を中心に時にメディア論的なアプローチも含みながら探偵小説を論じるアンソロジー。読み応えあり。2022/12/04

遠藤三春

3
ざっと読み。論文集。探偵小説って文学というより娯楽小説の感じが強い印象なんだけれど、それは探偵小説が生まれた当時も思われていたよう。探偵小説というと乱歩だけれど、「贋金つかひ」を坪内さんが訳したり、太宰が黒木舜平と名乗って探偵小説を書いていたり結構いろんな人が関わっていたジャンル。あとどうでもいいけど、なんで文学の論文て無駄に横文字使いたがるんだろう。表象に「リプリゼンテーション」のルビとか、「シンボリックというよりアレゴリカルな探偵小説」とか。わざわざ分かりにくくする。吉田氏と一柳氏のは読みやすかった。2015/03/25

空木モズ

2
芥川のところだけ2014/07/26

0
2004/03/20

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