内容説明
犀川、練無も集う 煌めきの傑作短編集! N大学医学部に在籍する小鳥遊練無は、構内で出会った風変わりなお嬢様に誘われて「ぶるぶる人形を追跡する会」に参加した。大学に出没する踊る紙人形を観察し、謎を解こうというのだが……。不可思議な謎と魅力的な謎解きに満ちた「ぶるぶる人形にうってつけの夜」ほか、魅惑の7編を収録した珠玉の第3短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
184
物語のメインの謎よりも聡い読者しか気づかない仕掛けに力点が一層置かれており、ますます森氏独特のミステリ趣味が特化してきている。従って、気づかない読者は置いてけぼりを食らってしまう。例えば「どちらかが魔女」で犀川が披露する壁画に穿たれた釘の穴の謎の答え、「ぶるぶる人形にうってつけの夜」に隠されたメッセージ(これはスゴイ)、「ゲームの国」に施された各所のアナグラム、といった具合。ちなみに探偵磯莉卑呂矛もアナグラム。そんな中での個人的ベストは「卒業文集」と「素敵な模型屋さん」。この路線を期待しているのだが…。2017/05/11
KAZOO
132
三冊目の短編集です。犀川先生と西之園さんの長編10編をすべて読んでしまったので今度は短編とVシリーズに行こうかと思っています。この丹江ペン集には8編の短編が収められています。謎解きが中心ということでいつもの面々が出てきて楽しませてくれます。2016/04/07
セウテス
91
【短編集】第3弾。SMやVシリーズの外伝、という雰囲気が強い。シリーズ間の繋がりを知る上でも、シリーズを読んで来たからこそ、気になる位置づけの短編集。ただしシリーズを読んで来たからこそ、その知識と常識がミスリードに要注意となるであろう。犀川や萌絵たちと、こうして又会えるのを懐かしく思っているのだが、今回はサプライズが多い。また、事件のシチュエーションで有名作品が浮かんできて、ともにククッとなってしまう。「ぶるぶる人形」のフランソワの正体や、「ゲームの国」の探偵の名前の秘密など、遊び心に溢れとても心地好い。2022/07/04
KAKAPO
91
少年の頃に見た夢は、どれも壮大に感じたけど、大人になってみると、そんな模倣のようなものを追いかけたところで、仕方がないと諦めてしまいがちだ。また、大人になってから目指す現実は、どれも実現できないほど困難で途方に暮れてしまいがちだ。だから、むしろ諦めてしまわなければならないのは、大人の現実であり、叶えるべきは少年の夢である。少年の夢は、それを実現した大人によって、次の少年に受け継がれ続けて行く。そして、その中の数人が、人類の生活を変えるような発明をしたり、夢をあきらめた人を再び夢に駆り立てる小説を生むのだ。2016/04/14
かのこ
60
再読。森先生短編集第三弾。S&M、Vシリーズのスピンオフも三作収録で、その他作品も読み応えのあるものばかり。終盤に、作品全体の印象がガラリと変わる系のものが多かったかな。シリーズ外伝はどれもこれも楽しすぎるけど笑、「ぶるぶる人形にうってつけの夜」の建物図に、あんなお遊びが仕込まれてたの初めて知れた…(ネタバレサイトのおかげ笑)出席番号とか関係するのかなーと深読みした「卒業文集」のシンプルさも好き。 そして、やっぱり森先生と京極先生って仲良いんだなと思えた「ゲームの国」にもにんまり(*≧∀≦*)☆2018/04/20