内容説明
洗脳セミナーを使った驚異のシステム。「悟りの会」に放り込まれた信者たち。その中に、城山麗子もいた。休むことなく大声で唱えさせられるマントラ。食事や睡眠中にヘッドホンから流れ込んでくるマントラ。宗教の内幕を凄まじく抉った傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
★グラスハート★
87
2.0 神の郷の洗脳セミナーに参加した麗子が落ちていく様子が描かれ、それに立ち向かうヘタレ夫の信彦や脱退支援している覚醒会メンバー。覚醒会って胡散臭い匂いがしているなぁと思っていたんだけど…。 麗子や信彦をもう一段嵌めてもよかったように感じる。 とりあえず、この小説は最初から最後までダラダラ感があり、1冊にして欲しかったかな。2018/08/30
はる
23
最後でやられた…ストーリー的にはとても掴みやすく悪と善が分けられていた。だけど最後でひっくり返ってまたひっくり返った。。。 私が読んでるこれも「洗脳」だったな。。。 長くて休みつつ読んだのに下巻で一気に読み終わった。これは面白かった。2019/12/20
ビスコ
6
単なる「宗教を描いたノワール小説」だった上巻に対して、下巻は「ノンストップサスペンス」という方が正しいとすら思える。それほど疾走感溢れ、読んでいて飽きさせない。 城山一家と神郷、そして信者の三視点を行き来し、教祖の嘘っぷり、信者の盲目っぷりの滑稽さ、そして被害者の悲劇を見事に描いているのは上巻と同じ。下巻ではむしろ、最期まで目を覚まさない信者達が哀れに思えてくる。結局のところ神郷も、何か─佐代子の幻覚─にすがらねば生きていけない盲目の信者だったわけか……2015/06/09
tpircs
2
最後のどんでん返しは正直微妙。スピード感があればいいってもんじゃない。この人の書くものとしてハッピーエンドはないだろうけど、救われないにしてもなんか中途半端。2012/05/02
Chako@(旧名:かど =^ェ^=)
1
著者はデビュー前に闇金融業界で働いていたという。どんなジャンルの本を創作執筆するかは別としても作家として、これ以上の創作上の糧となる経験はないと思う程に最強の体験だろう。金をめぐる人の心理劇や悲喜交々を見聞きしてきたわけで、そんな業界に身を置いて物書きの素養が備わっているのなら、逆に書かずにはいられないだろう。本書は「黒新堂」と言われるダークでノワールなものの一つ。初めて著者の本を読んだわけだが文体が合わなかった。物語の展開は面白いのだが。手垢のついたのとは違う独自の比喩表現が時折、目についた。2023/05/21