角川文庫<br> 聖アントニオの舌

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角川文庫
聖アントニオの舌

  • 著者名:坂東真砂子
  • 価格 ¥418(本体¥380)
  • KADOKAWA(2014/01発売)
  • ポイント 3pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041932100

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内容説明

時は中世イタリア。当時パドヴァに暮らした修道士アントニオは、人智を超えた不思議な力で数多くの奇蹟を起こし、人々を病苦・死から救い出したという。彼の死後700年以上経った今も、その聖性は人々の心に脈々と生き続け、その証として崇められているのは、彼の干からびた舌であった……。表題作の地パドヴァ、魔女伝説が残るトリオラ、鞭打ち苦行の儀式が行われるチェリアーナ、魔都と呼ばれるトリノ等、直木賞作家の著者が、イタリア中世の奇蹟と神秘の地を訪ね歩き、彼らの魂と深層を探りあてた、知的好奇心溢れるエッセイ。

目次

聖アントニオの舌
謝肉祭
魔女の町
鞭打ち苦行僧の行列
異端者の谷
魔都トリノ
メドゥーサの息子
夢の戦い
土の瘡蓋

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

170
かつてイタリアに留学し、またそこに住んでもいた坂東眞砂子さんのイタリア思索紀行記。9つの地が紹介されているが、例えば表題に描かれるパドヴァの聖遺物—聖アントニオの舌、歯、声帯を彼の遺体から取り出して展示している—というのには、もう驚きを通り越して唖然とするばかり。聖遺物に対する信仰は、もはや禍々しくさえある。魔女の街トリオラ、鞭打ち苦行のチェリアーナ、ヴァルド派の中心地トオレ・ペリーチェ、異端審問のチヴィアーレなど、聞いたこともない街に残る中世の残滓。いかにも澁澤の好みそうな題材ばかりだ。興味は尽きない。2017/09/10

エドワード

15
日本ではキリスト教はインテリ層中心で、合理的で博愛精神に満ちた宗教という印象だ。私はミッション校出身でそういう雰囲気の中で育った。しかし、実は奇跡や呪いや迷信に満ちたフツーの庶民の宗教なのだ。じゃなきゃ信者もついていけないよネ。北イタリアの町や村にあふれる、聖遺物崇拝にはビックリ!キリストの骨やらマリアの髪やら、なんだこれは!キモチ悪いよ。日本人がご利益と呼ぶものと何ら変わらぬ庶民の信仰に微笑ましさすら感じる。観光化したヴェネツィアの謝肉祭にシラけつつ、古都鎌倉の祭りの行く末を憂う坂東さんに共感する。2014/10/20

翔亀

6
初読の坂東眞砂子「旅涯ての地」(1998年)が良かったので、同時期に書かれたエッセイということで読んでみた。この頃、イタリアのパドヴァに住んでいたようですね。なるほど、旅涯の地のヴェネチアの濃密な描写も納得がいく。で、この本、意外に普通の紀行文。魔女の町やら異端ヴァルト派の谷やらミイラやら(カタリ派は登場しないが)、訪ね歩くスポットは、いつも他の客はいないという珍しいところばかりだが、しっかりと現地で手に入れた文献や中世史の本を参照しながら堅実な論述。小説家らしさは希薄だが、かえって親近感を感じた。■862013/11/25

読み人知らず

4
まるで紀行文。こういうのもかけるひとなのか。悪趣味にも近いミイラの話。プラスティネイションは画期的技術2016/11/19

luna

3
「イタリア・奇跡と神秘の旅」 私に足りないイタリア、という感じでとても面白く読めた。 この路線の方が楽しめるのかも……2013/12/06

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