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内容説明
新選組きっての剣の達人といわれ、常に戦いの中に身をおき続けた斎藤一。しかしその出自や経歴については、長い間不明とされ、新選組隊士の中でも最もミステリアスな人物の一人であった。本書は、先達の詳細な研究から、次第に明らかになってきたその生い立ちや新選組解体後の足跡をふまえ、大正まで生き抜いた男の生涯を瑞々しく描いたものである。新選組時代に、油小路の変、天満屋事件で闇の部分を一手に引き受けた斎藤は、鳥羽・伏見の戦い以降、幕府方として会津まで転戦する。会津で明治の世を迎えた一は、士道にのっとって生きることを決意し、警察官となった後、西南戦争にも出陣する。明治維新という大きな変革を、一はいかなる心境で迎えたのか。そして、自身の運命をどのように受けとめながら後半生を過ごしたのか。幕末から明治へという時代の大転換期に、武人としての気骨を堅持し続けた「最後の剣客」の生涯を描く力作小説。。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
UMA
5
間者という卑劣を強いた新選組への想いと、「卑怯な振る舞いはなりませぬ」と無垢に断じる什の掟に揺さぶられる斎藤さんがイイ。山川兄と仲良しすぎるのも微笑ましいし、やそとの過酷ながらも睦まじい新婚生活や時尾への勢いに任せた求婚も愛しすぎてニヤニヤが止まらない。維新後の明治の様子がかなりわかりやすくて大変参考になった。……と思ったら春吉くんが完全創作キャラと知ってビックリ。実在してないのかよ!2013/07/30
秋乃みかく
4
★★★★☆ 内容的にはかなり駆け足気味で、斎藤一という人物の表面をサッとひと撫でしただけのような感じではあったけど、ずっと以前読んだ赤間倭子氏の「新選組副長助勤 斎藤一」よりはかなり読みやすくて面白かった(^ ^)2013/07/12
maito/まいと
4
浅田版斎藤一を読んだ後だからか、むちゃくちゃ熱い漢で違和感(笑)とはいえ、己の生き場所・そして死に場所を求め続ける姿は、どの作品でも変わることなく、そして変わらないからこそ、斎藤一なのだな、と思い定められる(笑)ちなみに、妻の死から姿をくらまし、突如として明治の東京に姿を現す展開は本書の一番のお気に入りです。2011/06/03
asobu
3
この斎藤一は若さに溢れていて寡黙だけど熱血でなかなか可愛い。紙面の都合というかPHPならではというか、時々駆け足に時代を説明する描写があってモロ教科書になってしまったり、小説としてはやや読みにくいのですが、斎藤一にまつわる多くの謎と空白の解釈は面白い。やそが出てくる小説ってこれぐらいしかないんじゃないかな。2011/06/28
ジェンダー
2
人斬りだけの怖いイメージを持つ方ですが、女性対する優しさや松平容保公に対する恩義など以外な一面を知れる1冊です。