内容説明
24歳の愛人・さくら。お前は俺の最後の女だ――。私は自分の娘よりも10歳も若いキャバクラ嬢・さくらを愛した。彼女こそ、私が永遠に愛し続ける女の容姿の原形だった。しかしながら、70歳を越えた私のペニスはすっかり萎え切って、完全なるインポであり……。そんなある日、突然、さくらが死んだ。「先生ごめんなさい。先生を愛してました」そんな遺書をのこして、24歳の若さで自殺を遂げた――。なぜなんだ――残された72歳の作家がつづる慟哭と愛惜の日々。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつき
33
作者七十歳の時の、最後の愛人。老いのために、男性としての機能は失われており、肉体関係になくとも、愛人として精一杯愛された二十三歳の女性さくら。彼女がなぜ自殺という道を選んだのか。『瘋癲の果て さくらの昇天』は、話も堂々めぐりだし、あっちこっち話がいくので小説の体をなしているとは言えないですが、深い悲しみと、彼女の深い闇を見抜けなかった後悔が、昔の思い出話とともにつづられていて、団先生の身が八つ裂きにされるような辛いお気持ちが滲みでています。2013/02/25
スリーピージーン
9
愛人の死の謎を追う・・・みたいな小説かと思ったら随筆だった。お付き合いのある作家が実名でたくさん出てきて面白かった。団氏は素直な方だなぁと感じた。七十も過ぎて孫のような年齢の愛人に死なれてはそれは強いショックだったでしょう。独特の世界の人々のようだけれど、寂しさ孤独感は万人共通かと思う。まして老いてからは。2012/11/21
シュラフ
5
SM小説ではなく、団鬼六の最後の恋の物語である。人生の意味は快楽の追求にこそあると信じる団鬼六であるが、寄る年には勝てずインポテンツとなってしまう。そんな時に出会ったのがキャバクラ嬢のさくら。団鬼六はさくらとセックスのない愛人関係を結ぶことになる。幸せな日々が続くが、ある日突然にさくらは自殺してしまう。団鬼六の心の喪失の様子が描かれる。 エロ小説ではないが、猥談ぽい話が出てくる。東大卒の女性編集者はエクスタシーの瞬間を自身の性体験から「しだれ桜になる」と比喩している。そーなのかなと思った。 2013/05/03
tan_keikei
3
突然の死を遂げた最後の愛人さくら。人生を全うできなかったが故永遠の存在になった彼女に対し、老残の身を晒しつつ人生の夕映えを愉しむ決意を固めるまでが時にはエロく、時にはユーモラスに綴られますがやはり全編通して哀切です。2011/10/29
☆カジュ☆
2
初めての団鬼六。SM は出てこない。立たなくなった老作家とキャバクラ嬢とのプラトニックラブ。愛人さくらは突然自殺してしまう。その真相を追うでもなく、たださくらが愛しかったのだと!最後の恋だったのだ!と綴られる。色々気になって調べてみたら団先生とさくらさんの写真が出てきた。小説家って凄い。2012/09/23