内容説明
伊達藩士・斉藤小兵太寅吉は恋人を捨て、冒険を求めて、支倉常長遣欧使節に加わった。着いたイスパニアはすでに全盛期の栄光を失っていたが、一人のイタルゴ(戦士)と意気投合し、共に戦場に赴くために、帰国する使節団と訣別する決心をする。壮大なスケール、波瀾万丈の歴史ロマン。第6回小説すばる新人賞受賞作に大幅加筆、600枚の長編となったロング・バージョン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
77
かの(謎多き)支倉使節団が題材となるだけで興味がそそるのに、そこに船戸与一的要素と逢坂剛の要素を漂わせながら独自の物語は圧巻でした。「ジャガーになった男」よりも「ジャガーになった漢」でもむしろよかったのではないかと思うくらいでした。2022/05/14
Dai(ダイ)
19
傭兵ピエールに続き、2作目。どちらも西洋歴史小説であり、豪快な武人、女好きという共通の主人公の物語である。本作は歴史小説よりも伝奇小説に近くより荒唐無稽であるが、そのために軽い気持ちで読め楽しめた。日本刀を手に海外で暴れまわる様は心踊るものである。寡黙な著者であるが他に気になる作品もあり、機会があれば読んでみたい。2015/06/04
エドワード
16
スペインにはハポンさん一族がいる。支倉常長の遣欧使節の末裔だという。仙台から来た斉藤寅吉はとことん戦好きだ。日本では徳川幕府が泰平の世を築き始め、己の居場所の無いことを悟った彼は、帰国する一行と離れスペインに残る。実は大帝国にあぐらをかいたスペインでも戦争野郎の出番がないという日本との酷似が面白い。世界史とつながる日本史の妙味極まれり。大航海時代のスペインで、三十年戦争のドイツで、三銃士の時代のフランスで暴れまくり、最後はペルーで同じ黄色人種のインディオと共に戦うミゲル・トラ、彼こそラストサムライだね。2015/11/11
ken-chang
13
戦国時代が終焉を迎えるなか寅吉は、藩と女を捨て浪漫を求めて支倉常長遣欧使節団に参加する。イスパニア、ピルーで愛情や友情そして戦いが展開されていく。そしてジャガーになるのだが荒唐無稽で面白い。日本の武士は凄いのだ。☆42014/09/13
おくりゆう
13
デビュー作らしく、「双頭の鷲」や「傭兵ピエール」に通ずるものがありながら、荒削りな感もありますが、なお単純に面白かった冒険活劇物。個人的には途中のフランスのあの人との一騎打ちが、「うぉっ!」ってテンションがあがりました。2014/08/13