内容説明
幕末の混迷期、なすすべを知らない三百諸侯のなかで、自らの才質をたのみ、また世間の期待を集めた賢侯たちがいた。土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟。「藩主なるがゆえに歴史の風当りをもっともはげしく受け、それを受けることによって痛烈な喜劇を演じさせられた」(「あとがき」より)彼らを題材に、著者ならではの視点で幕末を探る短篇連作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
302
幕末に生き、本人の意思とは必ずしも連動はしないが、それでも結果的には倒幕、新政府樹立を促すことになった4人の大名を描く。最初は土佐藩主の山内容堂である。「一橋の英明、春嶽の誠実、これにわが果断を加え、天下のことを決すべし」というのが容堂の自己認識であったが、事は容堂の思うようには進まなかった。土佐藩士(就中、郷士)たちはは、そして世はもっと先に進んでいたのである。続く、薩摩藩主の島津久光。先の容堂もそうなのだが、この久光も、そして宇和島伊達家の宗城も、さらには最後の将軍となった慶喜もまた、思いがけずも⇒2026/06/25
Die-Go
110
再読。「酔って候」(土佐藩 山内容堂)「きつね馬」(薩摩藩 島津久光)「伊達の黒船」(伊予宇和島藩 伊達宗城)「肥前の妖怪」(肥前藩 鍋島閑臾)の幕末の藩主達を描いた四編の短編集。幕末においては西郷隆盛や坂本龍馬、新選組など家臣団の活躍が目立つため、どうしても裏方に回りがちな藩主達。ところがどっこい、この物語の主人公達は幕末の主役たりえるなかなかの個性派揃い。しかし、その個性が悲しくも喜劇的であったのが、読んでいて切なかった。★★★★☆2016/05/02
buchipanda3
105
自らを鯨海酔候と称した容堂候と言えば切れ者で豪胆ながら方針の豹変ぶりから怖い上司というイメージがあった。仕えた部下は散々肝を冷やしたと思う。そんな彼の若い頃からのエピソードが描かれ、酔狂な一面の根となる歴史主義と韓非子の思想からくる苦悩が見えてくる。なるほどこれは酔わずにおれようかという姿と思えた。他の3諸侯も独特な味を持ち、肥前の閑叟候の突っ走った感が凄い。ただ彼らは殿さまであり、激動の時代でもその範囲から外れなかった。最後の殿さまによる人生に酔った喜劇とも悲劇とも思える物語が何とも印象深く感じられた。2019/10/21
優希
66
面白かったです。自らの才能を認め、世間の期待を集めた「賢候」たちが描かれていました。歴史の風当たりを強く受けたからこその喜劇が語られているのかもしれません。2023/02/25
こきよ
66
四者四様、時代の変革期に足跡を残したお殿様達。やはり山内容堂の無頼ぶりが他の賢候を霞ませる。さては生まれた時代を間違ったか…2015/07/20
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