内容説明
見上げた空は果てしなく高かった。都会での華やかな暮らし、想い続けている人の横顔が、ふわり浮かんだ。だが、この地にしがみつき、一日一日をひたすらに積み重ねなければ、生きてゆけなかった。わたしの帰りを家族が待っていた。親やきょうだいは、ときに疎ましくときには重く、ただ間違いなく、私をささえていた。名匠が自らを注ぎこみ、磨き続けた十色の珠玉。柴田錬三郎賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TATA
18
特別なイベントやテーマはなくとも、ただ何人かの登場人物が会話を交わし、景色が流れるだけで、その感情の機微が描かれる。元来小説はこういったものだったように思う。しっとりとして、また、きちんとした作品でした。中でも「旅立ち」と「イーッ!」が白眉。2016/03/03
Cinejazz
14
昭和11年生まれの著者【志水辰夫】が、自らの人生の断片をしみじみ語り紡いだ10編の短編小説です。著者が物心ついた頃に〝鬼畜米英〟から〝民主主義〟へと、天と地ほども価値観の違う世界がたった一日で入れ替わってしまいました。戦前、戦中、戦後の混沌とした時代を生きた家族との絆、日々の暮らしの中で巡り合った人々との触れあった記憶が、哀愁ただよう物語として語られていきます。著者が職業作家としての総決算の思いで綴ったというだけあって、しんみり心に染みて濃厚な味わいを醸し出す作品集でした。2020/10/08
Duffer
4
友人、家族との別れや過去をたどる旅などを、終戦後から現代までを舞台に描く短編集。随所に散らばるノスタルジックな描写にじわっと感動する。特に姉や妹の書き方が秀逸。50才以上の方はきっと共感するはず。2015/10/01
まめちゃん
4
戦中生まれの世代の、昭和30年代をおもに時代背景とした短編集。 自分は10年ほど後の世代であるが、記憶にまだ残る描写が感じられて、 懐かしかった。 「短夜」「イーッ!」「高い高い」が特に印象に残りました。 この頃の人たちは、純朴で、素直で、でも筋を通す、そんな人が多い 時代のように思います。2014/03/12
いろいろアッテナ
3
著者の年代は、おおむね私の親世代です。作品に出てくる時代的背景が、なんとかぼんやりとイメージできました。私の次の世代には難しいんじゃないかなー。2018/11/20
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