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内容説明
奈良・平安のいにしえから、日本人は自らの文化の特質について、さまざまな角度から論じてきた。それは、常に異国文化の影響下で自分たちの考え方やふるまい方を築いてきたことと密接な関係がある。本書は、明治以降、西欧文化が激しく流入する時期に焦点を絞り、一五人の思想家、学者、作家などによる代表的な日本文化論を比較文化的視点から読み解くことによって、近代日本人の自画像を検証する試みである。
目次
序 鏡を覗きこむ日本人
1 明治開国と民族意識のめざめ
2 民俗の発見
3 日本哲学の創造
4 文人たちの美学
5 伝統日本への反逆と新しい日本像の発見
6 西欧近代社会モデル対伝統日本心性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なお
4
著名な文化論を詳細に紹介された「カタログ」のような一冊。「茶の本」と「陰翳礼讚」は読む予定ですが、個人的に民俗学にはほとんど触れたことがないので本著で書かれている柳田国男や柳宗悦あたりから手をつけてみようと思います。このように「本→本」へと繋げてくれる一冊は貴重ですね。ありがたい。2020/09/25
椿
4
明治から戦後まで日本文化のキーワードが次々出て来て、ものすごいスピードで概観できちゃう。誰でも読めるレベルだし、しかも面白い。川端康成のノーベル賞スピーチとか、岡本太郎がただものじゃないこととか、知ったかさんになれる情報が満載だ。そして、今はどんな時代なんだろうと考えさせる、新しい年号を前に是非。2018/07/18
たろーたん
3
戦争前は、谷崎潤一郎「闇の美学(ぴかぴかなものより翳りのあるものを好む)」や川端康成「自然との一体化」「日本独自の無」など日本の独自性を評価するものが多いが、戦後は坂口安吾「武士道や天皇制など為政者のための規範は捨て堕落することが人間らしいあり方」や丸山真男「日本の思想はそれぞれが雑然と同居しているに過ぎず相互連関をすることはない。これは敗戦によっても克服されることはなくむしろ激化してる」「天皇を国家原理の中核とする国体の仕組みは曖昧であり、周りがひたすら推し量り、(続)2022/05/21
左手爆弾
3
1時間くらいでさっと読み通せる。様々な日本論についての筆者の見解は特になく、教科書的に並べていく感じの本。次に読む本を決めるためにはそれなりに有益だと思われる。それにしても、日本という国は、あくまで西洋という漠然とした文化圏を相手取らなければ自分自身の文化を語れないのであろうか。あるいは、日本の文化の独自性を語りつつも、結局洋服を着て洋風の社会制度の下で生活しなくてはならないのだろうか。2015/01/27
半木 糺
3
明治以降の、日本人の手による日本文化論の名著を取り上げ、その歴史をまとめたもの。冒頭に、「日本人が自分を映し出す鏡は、ただの一面鏡ではなく、無数に異なった多面鏡、万華鏡である」と記してあるように、その内実は実に多種多様である。特筆すべきは、あの難解な西田幾多郎の『善の研究』を初めとする哲学体系を非常に明瞭にかつわかりやすく叙述している点である。近代以降、日本人がいかにして自己を見つめてきたか、その知的営為のありようの大まかな流れを本書では掴むことができる。2014/06/30