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内容説明
奈良・平安のいにしえから、日本人は自らの文化の特質について、さまざまな角度から論じてきた。それは、常に異国文化の影響下で自分たちの考え方やふるまい方を築いてきたことと密接な関係がある。本書は、明治以降、西欧文化が激しく流入する時期に焦点を絞り、一五人の思想家、学者、作家などによる代表的な日本文化論を比較文化的視点から読み解くことによって、近代日本人の自画像を検証する試みである。
目次
序 鏡を覗きこむ日本人
1 明治開国と民族意識のめざめ
2 民俗の発見
3 日本哲学の創造
4 文人たちの美学
5 伝統日本への反逆と新しい日本像の発見
6 西欧近代社会モデル対伝統日本心性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ドラマチックガス
9
少し駆け足気味に。後半のいくつかは没頭した。ある分野の全体像を掴みたいときに、こういう本はとてもありがたい。丸山眞男『日本の思想』はチンプンカンプンで断念したんだよなぁ…概略が掴めたので再挑戦してみようか。あとは西田幾太郎、和辻哲郎が面白そう。2025/11/30
たろーたん
6
戦争前は、谷崎潤一郎「闇の美学(ぴかぴかなものより翳りのあるものを好む)」や川端康成「自然との一体化」「日本独自の無」など日本の独自性を評価するものが多いが、戦後は坂口安吾「武士道や天皇制など為政者のための規範は捨て堕落することが人間らしいあり方」や丸山真男「日本の思想はそれぞれが雑然と同居しているに過ぎず相互連関をすることはない。これは敗戦によっても克服されることはなくむしろ激化してる」「天皇を国家原理の中核とする国体の仕組みは曖昧であり、周りがひたすら推し量り、(続)2022/05/21
なお
4
著名な文化論を詳細に紹介された「カタログ」のような一冊。「茶の本」と「陰翳礼讚」は読む予定ですが、個人的に民俗学にはほとんど触れたことがないので本著で書かれている柳田国男や柳宗悦あたりから手をつけてみようと思います。このように「本→本」へと繋げてくれる一冊は貴重ですね。ありがたい。2020/09/25
椿
4
明治から戦後まで日本文化のキーワードが次々出て来て、ものすごいスピードで概観できちゃう。誰でも読めるレベルだし、しかも面白い。川端康成のノーベル賞スピーチとか、岡本太郎がただものじゃないこととか、知ったかさんになれる情報が満載だ。そして、今はどんな時代なんだろうと考えさせる、新しい年号を前に是非。2018/07/18
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
3
こういうシンプルな本は頭の整理になるので、日本文化論に関する概観をつかむには良書。特に、志賀重昂の自然観が19世紀のロマン派の自然観に由来するとか、岡倉天心の『茶の本』をフランス象徴主義やイギリスのラファエロ前派との照応でみることで、必ずしも日本文化論が即日本特殊論になるわけではなく、普遍的な事象に関する日本的考察であることがわかる。2017/03/15
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