内容説明
恋人のキタザワに誘われ、同居することになった南。ところが、そのマンションには、キタザワの遠い親戚マリコとその恋人サトシが住んでいた……。成り行きまかせで始まった男女四人の奇妙な共同生活を描く表題作ほか、別れの予感を抱えた若い夫婦があてのないアジア放浪に出る「かかとのしたの空」を収録。今を生きる若者たちを包む、明るい孤独とやるせない心をうつしだす作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
101
【再読】むむむ、ジメッてますねぇ。連作中篇なのかしら。あとがきはなんと長嶋有さん、という贅沢さ。長嶋さんもおっしゃっているように、この両作品でふたりの女性主人公は常にイラついている。そしてそのパートナーの男性たちはどちらもだらしないダメ男くん。女たちよ、そんな男どもはとっとと捨てて街に出よう!みたいな読後感。角田さんの描くアジアの風景は、街の匂いまで漂ってくるようで好き。私自身が過去に訪れたアジアやフレンチポリネシアの熱気を一気に思い出させてくれました。2015/07/20
エドワード
32
恋愛モノを書く小説家は、最初は自分に近い年齢の男女を描くもの。角田光代さんの、未読の初期2作品。主人公が若い。「みどりの月」は、恋人のキタザワと同居する南の体験する奇妙な共同生活。なんでマリコとサトシがいるのよ。わけわかんない。「冷蔵庫のアイスクリームを勝手に食べないでよ!」常識のあわない人との暮らしの疲れ方がリアル。無関係のような続編のような、もう一編。タイ、マレーシア、シンガポール。熱帯の猥雑さが既に角田さんの十八番。細かい描写のどこが重要なのか気をつけて読まねばならない、粗削りの魅力。2018/10/17
ピース
31
最初は「みどりの月」の続きが「かかとのしたの空」かと思ったら違ったみたい。南か何も知らずにキタザワと住もうとしたのは分かるが、実態を知っても暮らし続けて最後には結局旅行に着いていくのはちょっと…これが女心?なんかよく分からない。2020/08/31
June
25
「みどりの月」ありえないシチュエーション。奇妙な男女らとの共同生活、私にはこんなのは耐えられない。責任も常識も欠如していて、目標も見通しもないから、仕事も続かない人たち。この中ではまともな主人公が、早くこんな奴らから遠ざかればいいと思いながらも、読んでしまう……「かかとのしたの空」上手くいかなくなった夫婦が身辺整理をして、タイ、マレーシア、シンガポールと当てもなくただフラフラと旅をするのだが、なんだかよく分からないなあと思っているうち、わからないまま終わってしまった。2017/11/20
ちーちゃん
23
うーむ、ハマりそうでハマれない…付いていきたいけど、やっぱりダメだった残念😢☆2003年刊行、角田光代さんらしい不思議な作品。子どもの頃からずっとボーッとするスイッチを持ってる私とキヨハルの不可解な同棲生活と、放浪生活の2篇。心の奥にザワつく何か…枠に安心したくて、でも枠が嫌で、何もかも捨てたのに…留まったところにまた枠を作ってしまう矛盾にウナリつつ…終盤はなんなんだって飛ばし読みで。角田作品はどハマりとそうじゃないのと落差が激しいのは私だけ?放浪先の喧騒が好きな土地なら、もっとノメリコメタのかも(泣)2022/11/10