内容説明
奥州石巻を出港し、難破してロシアに漂着した「若宮丸」の乗組員たち。十年の辛苦に耐え、日本人として初の世界一周をなしとげた彼らの記録『環海異聞』を中心に、数々の漂流記の魅力に迫る。漂流記こそ日本独自の海洋文学であり、ドラマの宝庫なのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
126
ノンフィクション好きにはたまらん。太平洋には北向きの潮流があり、古くは江戸時代から、何かの弾みで遭難して果てはアリューシャン列島に着いてしまった記録が残されている。大抵はその前に死ぬか殺される。そんな漂流記に取り憑かれた吉村昭による、1793年からの若宮丸の記録。ロシア政府の思惑もあり、波乱万丈の10数年の歳月をかけて数人が日本に帰り着くが、幕府の鎖国政策やキリスト教弾圧により翻弄され精神を病む。彼らはまた帰国に際し初めて世界一周をした日本人となる。ワクワクが止まらない1冊。いつか船の上で読み返したい。2021/11/06
金吾
47
○若宮丸の漂流から帰国までを書いてます。ロシアとの接点の部分は大変興味深い内容であり、国益の追求の部分はありながらもイメージより人道的に感じました。時代からしてしょうがないのでしょうが日本の役人の小役人ぷりは民族性かなと思わさせられます。2022/10/05
たぬ
41
☆4.5 私の初読み漂流記はロビンソン・クルーソーだったか十五少年漂流記だったか。はたまたガリバー旅行記だったか。漂流記って何が起きるかわからないドキドキといきなり死が訪れても何ら不思議ではないハラハラがたまらないのよね。本書の中で軽く触れられている漂着した鳥島で10年以上サバイバルした話や大黒屋光太夫の話はものすごく面白かったもの。100頁ちょいを割いて若宮丸の話がい書かれているけど読み応えは言うまでもなく花丸よ。2023/06/29
tomi
39
(再読)多くの漂流小説を書いた著者が、「大黒屋光太夫」の「神昌丸」に遅れてロシア領の島に漂着した「若宮丸」の乗組員たちの記録を基に描いたノンフィクション。帰国を切望する者と厚遇を受けて現地に留まる者との対立など人間ドラマも面白く、小説として書いたものも読みたかったと思う。2017/08/19
ホークス
37
海は恐ろしい。宇宙と同じくらい危険な場所であり、今迄どれだけの漁師や船乗りが死んでいった事か。遭難して奇跡的に生き長らえ、さらに記録を残せた人はごく稀だ。本書のメインは、1793年にロシアに漂着した若宮丸乗員をロシアと江戸幕府などの記録から追った漂流記である。極寒の長く苛酷な旅の中で、帰国を諦めてキリスト教に改宗する者、力尽きて死ぬ者もいる。日本との交易に彼らを利用したいロシア、その手先である過去の漂着日本人など、話が濃密である。遺されたロシア服に著者が息を飲むくだりに、物語を超えたショックと感動があった2017/09/26




