ちくま新書<br> 童貞としての宮沢賢治

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ちくま新書
童貞としての宮沢賢治

  • 著者名:押野武志【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 筑摩書房(2014/10発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 180pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480061096

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内容説明

宮沢賢治は生涯独身を貫いた。それを自己犠牲による高邁な思想と捉えず、彼の作品を性的妄想がうずまく不純な産物として読みなおすと、これまでとは違う賢治像に出会える。「童貞」として、他者との関係を自ら断っていく賢治の生き方は、現代のさまざまなコミュニケーション障害の病につながり、また絶対的な他者との同一化を目指すテロリズムの思想にも親和性をもつ。まったく新しい宮沢賢治の世界を俯瞰する、挑戦的な一冊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kikuyo

32
イメージだけが先行した聖人としての賢治像を壊そうとする試み。ちょっと深読みしすぎな印象も。6章以降の贈与と交換についての考察は普通に評論になっているが面白い。賢治作品の自己犠牲のテーマについての考察。本当に他人のためになるとは…については自分も再考が必要かな。ただ、美しい作品をそのまま素直に美しいと感じることは、それだけで貴重な体験だと思っている。2016/10/30

ぼっせぃー

3
“りんり”や“どうとく”のモヤに包まれた宮沢賢治のイメージを多角的に晴らしていこうや、というキャッチーなタイトルなのに、なんか引っかかってる感想が多くてどう読んでんのやろと感じた。めちゃくちゃ平たくいくと、ここで露わになるのは、同時代の青年と同じく大衆の性倫理に囚われていた賢治であり、日蓮宗を経由した国粋主義者の賢治であり、それらを同居させていた、自己肯定感が低く共依存関係に陥っていた“悩める若者”としての賢治である。病跡学や文化人類学の視点の導入はやや唐突ではあるが、作家論としても読み物もしても面白い。2021/04/07

左手爆弾

3
「雨にも負けず...」と禁欲的で朴訥としたイメージの宮澤賢治だが、実は童貞をこじらせた奴だった!?という視点は非常に面白い。しかし、なんというか、全体的に「童貞だからどうなのだ」感が強く、時代背景的なものを厚くされても、その疑問は減らない。要するに、普通の文芸評論とあまり変わらず、面白い切り口を活かせないまま終わってしまったようにも見える。2016/10/05

やまもと

3
タイトルに惹かれて思わず図書館で借りました。宮沢賢治の解説書として見ると面白かったように思います。賢治が描く世界の繊細さ、美しさは童貞であるが故の賜物だと。性というリアルを経験してしまってはあの繊細な文章は書けないのかもしれません。性欲を抑えるための菜食や、性欲を忘れるために牧場を歩きまわり原稿を書き連ねた話を聞くとなんだか笑えてくる。もしかしたら今後賢治の作品を読む時には今まで気付かなかった賢治の童貞力の一端に気付けるかもしれません。2012/11/01

テツ

3
セクシャリティな話題はあまり好きではないけれど、というか嫌いなのだけれど、賢治の美しさや寂しさはその身体と心の清さから発露した物なのかなあとは思った。この世界の美しさの本質を観ることができ、それを理解することが出来るのはやはり本人が持つ美しさが鍵となるのかな。身体は何をしようと汚れはしない。心も。だけれど遺伝子や生命を繋ぐ行為をしてしまったら、きっとそれ以降は世界が肉を持ってリアルに感じられるんだと思う。その繋がった相手のことも。そしてそのリアルさは物事の美しさを観るときに障害となることがある。2012/10/08

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