内容説明
月面都市の大企業LAP社は、自社製アンドロイドの両親に人間の少年を養育させる実験を行なっていた。この非人道的行為を告発するため訪れた地球のジャーナリスト・リビーは、やがて少年の哀しい出自を知る。それは、地下都市跡で生活し、地上の人間からは蔑視される一族“ルナティカン”の物語でもあった……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
12
1988年の作品。今の神林長平から見ると、明らかにもの足りない。アンドロイドとアイデンティティの問題も、その萌芽はあるが、未消化に終わっているし、そもそも物語そのものの完結性も弱い。ただし、月世界はそれなりにロマンティックに描かれているし、神林の全体像を知るにはやはり必要な作品。2012/04/22
ミネ吉
11
神林長平さん初読み。1988年の作品。最後の方はそこそこ面白かったが、全体としては微妙な出来。初読みには適さななかったかも。月でパパママ・アンドロイドに育てられた少年と、少年を利用する大企業役員、少年を救おうとする女性作家と、少年の伯父が主な登場人物。アンドロイドに育てられた少年はどういう人間に育つのか?という思考実験はAIが発展する現代から見ても興味深いテーマだが、そこにはあまり焦点があたらない。80年代ハリウッド映画を思わせるアクションシーンや恋愛シーンが中心のエンタメ小説で、古さは否めなかった。2025/11/19
紫伊
7
アンドロイドに育てられる少年。月では「ルナティカン」と差別される存在。隣の芝生は青く見えるというけれど、幸福もそういうことなのかなとふと思いました。2016/08/01
どんまいシリル
6
これは、わかりやすいお話で良かった。アンドロイドの限界や人種差別。守られるべき子供を、やがては自立するように育てることの難しさ。決定的な解決策が書かれていないのが、好ましいと感じた。2015/07/11
ユッキーさん
5
昔、神林長平の著書で読みたい物があったはずなのにタイミングを逃しまくってここまで来てしまった。先日読んだ桜庭一樹書評集でも紹介されていて今度こそ読まねばと手に取る。思ったよりサクサク読めたのだけど、どうやら“らしくない”作品らしい。とはいえ人間関係が時々混乱してしまった。ラストは胸をギュッと掴まれるような苦しさがあった。2019/06/27
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