内容説明
月面都市の大企業LAP社は、自社製アンドロイドの両親に人間の少年を養育させる実験を行なっていた。この非人道的行為を告発するため訪れた地球のジャーナリスト・リビーは、やがて少年の哀しい出自を知る。それは、地下都市跡で生活し、地上の人間からは蔑視される一族“ルナティカン”の物語でもあった……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
10
1988年の作品。今の神林長平から見ると、明らかにもの足りない。アンドロイドとアイデンティティの問題も、その萌芽はあるが、未消化に終わっているし、そもそも物語そのものの完結性も弱い。ただし、月世界はそれなりにロマンティックに描かれているし、神林の全体像を知るにはやはり必要な作品。2012/04/22
紫伊
7
アンドロイドに育てられる少年。月では「ルナティカン」と差別される存在。隣の芝生は青く見えるというけれど、幸福もそういうことなのかなとふと思いました。2016/08/01
どんまいシリル
6
これは、わかりやすいお話で良かった。アンドロイドの限界や人種差別。守られるべき子供を、やがては自立するように育てることの難しさ。決定的な解決策が書かれていないのが、好ましいと感じた。2015/07/11
ユッキーさん
4
昔、神林長平の著書で読みたい物があったはずなのにタイミングを逃しまくってここまで来てしまった。先日読んだ桜庭一樹書評集でも紹介されていて今度こそ読まねばと手に取る。思ったよりサクサク読めたのだけど、どうやら“らしくない”作品らしい。とはいえ人間関係が時々混乱してしまった。ラストは胸をギュッと掴まれるような苦しさがあった。2019/06/27
DERIA
3
作者にしたらすごくシンプルな運び。 設定はやはりユニークで面白い。2016/05/22