内容説明
十二世紀末。鎌倉に追われる九郎坊と大和坊は、奥州の山中で妖麗な女が独居する藁屋に一夜の宿を請う。黒蜜と名乗る女は奥の間を覗かぬことを条件に逗留を許す。十九世紀、奥州山中の荒屋(あばらや)に宿を請うた男は、生首となって生きる九郎坊を奥の間に見る。さらに時代は流れ……九郎坊は高層ビルから廃墟と化した都市を見下ろしていた。永遠の命を生きる異形の者の、時空を超えて展開する愛憎と闘い。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nuit@積読消化中
68
鬼の棲家と分かるまでの冒頭の描き方は、正直今まで読んだどんな鬼婆の話よりも一番面白く読ませていただきました!しかしながら、個人的な嗜好としてSFバイオレンスなどが苦手なせいもあってか、時空を超え、何千年と追われ追う者となった辺りは若干、中弛みしてしまった感は否めないが、またラストでの、そもそも黒蜜が鬼(吸血鬼)となった経緯になんとあの御仁が!?が明かされる辺りからはまた興味深く読めました。さすが夢枕貘先生!2017/04/27
たま
51
『憧れの作家は人間じゃありませんでした』のイケメン吸血鬼に驚いていたら、読み友さんに紹介いただいた本。謡曲の『黒塚』の伝承に根ざしつつ、楚々たる女性吸血鬼(老婆ではなく)の家に義経主従が逃げ込み、追手に追われた義経と女が転生を繰り返す伝(怪)奇+SFの展開。この作家さんの文章のリズムが苦手で苦戦したが、最初の設定は力があって感心した。確かに安達ケ原には吸血鬼がいたかも、中にはイケメンもいるかも…そんな気がしてきた。この本では吸血鬼は裏切り者ユダの末裔となっているが、そんな伝承もあるのだろうか。2024/10/06
wata
48
父の書棚から。九郎と黒蜜、武蔵坊がなんと吸血鬼伝説と合体して、不死身の身体で長ーい年月を逃げ続ける…。最後二人は逃げきれたのか?武蔵坊の最期はやっぱり。2019/09/28
りんご
42
九郎義経、永遠の命を得る。ふぁー。500ページを超える大作ですが、短文、改行、単語、改行でスピード感を持たせた結果、内容があんまし無いように感じちゃいます。大河ドラマ、録画した先週分を観るのが楽しみです。本作のクロウは手榴弾を刀ではじき返しておりましたよ。さすが戦の天才。2022/05/24
眠る山猫屋
41
再読。コミックも途中までだったので新鮮な読後感。安達ヶ原で出会った義経主従と黒蜜という女。長い長い逃亡が始まる・・・。様々な時代を断片的に語りつつ、記憶を少しづつ失っていったクロウ(義経)。黒蜜を思う気持ちはいつしか変質し、理由も見失いながらひたすら黒蜜という女を追い求めるのみ。隕石が落ち核の冬を越えて、漸く二人の運命が絡み合う時が。黒蜜は最初からクロウを忘れていない、一千年を経ても。クロウも黒蜜にまっしぐらだ。邪魔するのは人間の不死への渇望。最期は・・・。ライは助かったのかな。2018/10/24
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