内容説明
20世紀最大の歴史家アーノルド・トインビー博士と、池田名誉会長の対談集。対談は、1972年5月と翌年5月、のべ10日間、40時間にわたり行われた。二人の視座は、21世紀に向かう人類の課題を解決していく方途の探求に向けられ、西欧の歴史家と東洋の仏法者というそれぞれの立脚点の相違を超えて、「21世紀を人間革命の世紀にする」――など、実に多くの部分で意見の合致をみている。“21世紀の人類の教科書”ともいうべき本書は、これまでに世界20言語以上で翻訳され、各国の指導者が愛読し、大学の教科書にも使用されている。
目次
第1部 人生と社会(人間はいかなる存在か 人間を取り巻く環境 知的生物としての人間 健康と福祉のために 社会的動物としての人間)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
15
1972年から74年にかけて行われた、20世紀最大の歴史家A・J・トインビー博士と、池田大作創価学会名誉会長との対談。「人間はいかなる存在か」として遺伝と環境、精神と肉体の関係についてや「知的生物としての人間」として知識人と大衆、科学的思考法の限界についてなど77のテーマが語り合われ、世界31言語に翻訳されている。二人は宗教的、文化的背景に違いを持ちながらも、宗教こそが人間生活の源泉であると信じる点において、また精神革命によって人間がおのれの欲望を超克すべきであるとする点において同じ見解に立っている。2023/01/17
イプシロン
15
人間はいかなる存在かという問いかけから始まり、人間とは色心不二(身と心は一体)であり、依正不二(主体=人間と客体=環境は一体)の存在であるという視点をまず提示。そこから一体不二の視点に立って、学問、教育、文化、そして社会システムと労働などについて対談が進む。意見の相違は2か所。理想と現実の中道をゆく人間の理想的生き方に、情(倫理)を含めるかいなか。自殺、安楽死の権利に関する意見の相違だ。そこに池田氏とトインビー氏の、生命尊厳を絶対視するか、そうでないかの差があるのだろう。文学とは創造的生命の発露だそうだ。2014/10/07
ロビン
14
自殺(尊厳死)の是非についてなどいくばくかの相違もあるが、二人の東西の巨人の意見は、良き宗教をもつことの重要性と、その信仰を基にした精神革命の必要性において概ね一致している。また教育は、実利的動機に基づくものではなく、トインビー博士が「宇宙の中及び背後にある精神的実在」と呼ぶものとの霊的な交わりを求めることにその目的がある、との見解に改めて感銘を受けた。知的職業に就く者は奉仕を旨とし、その義務を自分や家族の生計という付随的な必要性より優先させるべきとの博士の信念と覚悟、実人生での実践に打たれる。2024/08/22
wiki
9
理解力が強くなったと思う。いろいろ本読んで来てよかった。テーマが多岐にわたり、各々大変示唆に富む対話だからこそ、感多く、書ききれない。本対談が行われてからほぼ半世紀。「人生100年時代」や「働き方改革」「IT革命」など、今でこそ声高に巷の問題となっているが、本書においては既にその問題の本質を見抜き、如何に生くべきかを示唆している。「人類の教科書」としてうたわれ、28カ国言語に翻訳された両巨人の対話は、いや増して輝きを放っている。1つのテーマで名著1冊分以上の価値がある。絶対に読むべき書籍の1つである。2018/05/02
はなっこりー
6
人類は、始めて原爆を使い終戦を迎え平和への歩みを始めていたが、アメリカとロシアの冷戦等があり危機感を抱く。40年前イギリスの大歴史家のトインビーじいさんは過去の歴史を学ぶ中、このままでは21世紀を迎える前に人類は自分達の愚かな兵器で滅亡してしまうだろうと憂慮した。日本で仏教を軸に民衆による平和運動を指揮する若きリーダー池田大作氏を知り、自ら書簡を送り対談の提案をし、そして実現する。上巻では教育やメディア等、多岐にわたる英知のぶつかり合いは、私達21世紀を生きる者達にまったく色褪せる事ない後世に残る指南書♬2014/09/11