内容説明
『64』で話題沸騰! 横山秀夫の警察小説の原点!
署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か? 男たちの矜持がぶつかりあう。表題作(第53回日本推理作家協会賞受賞作)ほか、女子高生殺しの前科を持つ男が、匿名の殺人依頼電話に苦悩する「逆転の夏」。地方新聞の警察担当記者が主人公の「ネタ元」、公判中の居眠りで失脚する裁判官を描いた「密室の人」、珠玉の四篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
517
「影踏み」の時もそうでしたけど、著者は前科者を書かせたら他の追随を許しませんね。「逆転の夏」は猛烈に引き込まれ、おかげで電車乗り過ごしました。2017/03/17
遥かなる想い
506
2001年このミス国内第二位。 警察手帳が30冊 一斉になくなる。派手な殺人事件ではなく、警察内部の微妙な人間関係を描写するのが上手な作家。読んでいて新鮮な感じがする。 2010/06/13
HIRO1970
505
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️横山さんはまだ2冊目。前回クライマーズハイを読んで圧倒されまして、手に取りました。今回は長編では無く、表題作を含めて4編の短編集です。読んでみて感じたのは司馬さんもそうですが、元新聞記者の方の取材力と構成力はやはり侮れませんね。CIAやFBIは日本にはありませんが、諜報力とでも言えば良いのかも知れません。現代の忍者は社会の事件のある所には何処へでも入って行ける唯一無二の職業です。元忍者でも忍びの術に衰えは感じられず、技の冴えがスーッと糸を引く名作揃いでした。皆さんにオススメします。2016/10/29
zero1
390
誰が敵で味方か?重苦しい作品たち。元新聞記者の経歴が生きる中編四つ。地味だが再読でも興味深く読める。警察手帳大量紛失事件を追う「動機」。10年服役していた男が殺人の依頼を受ける「逆転の夏」は本書で最も好きな作品。追いつめられる男の心理描写は流石!。女性事件記者が主人公の「ネタ元」。公判中に居眠りをした判事を描いた「密室の人」はややご都合主義。横山は読ませるパワーを持った作家。この後「半落ち」や「64」、「第三の時効」、「クライマーズ・ハイ」など読者に支持される作品を世に送り出した。これが100冊目の紹介。2018/11/17
yoshida
335
警察内部物、前科をもつ者、新聞社物、裁判官物の4編を収録。どの短編も予想がつかない展開。そして同僚たちの激しい言葉の応酬。「逆転の夏」での、ふとした出来心から転落した主人公。殺された高校生の娘を信じたい父親の苦悩。「密室の人」での僅かな居眠りで退官を迫られる厳しさ。そして信じていた妻の因果と裏切り。「ネタ元」は横山秀夫氏の新聞社勤務の経験が良く活きてると感じた。嫌なタイプほど女性にもてる不思議。じっくり読める重厚感のある一冊です。2015/03/29
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