ちくま文庫<br> 若きヴェルテルの悩み

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ちくま文庫
若きヴェルテルの悩み

  • ISBN:9784480037732

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内容説明

「彼女はぼくにとって神聖だ。すべての欲望が彼女の前にあっては口をつぐむ。」至福の日々をもたらした恋は、やがてヴェルテルに苦悩を、悲劇の最期を運命づける。激しい感情のうねり。旧社会への反発。ゲーテ自身の絶望的な恋愛体験を題材にしたこの作品は、それまでの小説の常識を覆し、激動期にあった当時の社会に大きな衝撃を与えた。時代と国をこえ、永遠に読みつがれる青春小説の古典。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

42
1774年、ゲーテ25歳の時の作品。ドイツのいわゆる疾風怒涛の文学運動の代表作で、名のみ有名だが恐らく初読。一言で言えは"痛い"読後感。自己の熱情を無限に拡張する若さもあるだろうし、まだ確固たる貴族階級制度が存在する時代の制約もあるだろう。あらかじめ失われた恋が果たされずに自殺に自らを追い込むヴェルテルには、ゲーテ自身の失恋が反映されているともいわれる。失恋を克服するためにこれを書いた、と。しかし私が感じた"痛さ"はむしろゲーテの芸術的な思いが空回りする悲痛な叫びだ。山や森との幸福な一体感や逆に猛威を↓2020/09/13

ムーミン2号

9
魂が符合する、そんな相手と出会ったことはあるか? その人が必ずしも生涯の伴侶となるわけではない。ならないケースの方が多いのかも知れない。ではそんな相手に出会ってしまった時、どうするのか? どうしようもなく惹かれ合っても、例えば自分が既に結婚していたり等々の事情はゴマンとあるだろう。その際の煩悶、心痛、傷心などは多少の息抜きや気分転換で紛れるものではない。ヴェルテルの場合、行き着く先は自ら命を絶つことだった。この世で結ばれぬ縁は、先で成就するものなんだろうか? 書簡体がこの作品の場合しっくりいっている。2017/11/08

tieckP(ティークP)

4
岩波の竹山訳以来の再読。この柴田訳は文章は非常に読みやすくて、古めかしくないのがいい。これは訳の年代の差もあるのだろう。柴田のほうが後な上に、近年に手が入れられている。ただし、この柴田訳は注がない。たとえば開始早々に出てくる「ハイネ」は当然、年代からしてあの有名なハイネではないのだが、一般読者に分かるだろうか? とはいえ訳文は日本語として気持ちが良く、作品自体も前よりずっと好きになった。なおロッテにはっきりした態度をとらせないのは作家の優れた技巧だが、それを根拠に片恋慕とみなすのは「野暮」であろう。2013/07/11

(@_@)

2
ゲーテ自身の失恋経験を題材にしたと言われる、自己の幻想の中でエゴの全てを何の制約もなく燃やし尽くそうとする青年ヴェルテルを描いた一冊。ヴェルテルにとって婚約という社会の約束事が自分の欲求を阻止するということは、不可解、あるいは不思議である。「人間は人間なのだ。ちょっとばかりの理性を誰かが持っていたとしてもそれがどれだけ役に立つんだ」「この世の中である人間を欠くべからざる存在とするものは愛より外にない」。彼の運命には溢れる涙を拒むことができないでしょう。2019/01/19

リドカ

2
ゲーテの名と、歴史的役割を剥ぎ取ると、ただの勘違いストーカー物語に堕する名作。2010/07/14

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